1月16日(日)放送
田んぼにトキが舞いおりる 〜佐渡 生きものと共生する米作り〜
 
写真・左:田んぼにトキを見に行くのが日課(米作り50年のベテラン・井川浩一さんと孫たち)
写真・右:トキ復活の鍵を握るのは餌場となる田んぼ
 
写真:
除草剤を使わない米作りは雑草との戦い
(草取りをする斎藤真一郎さん・トキの田んぼを守る会会長)

今では、およそ30羽のトキが飛び回る島「佐渡」。しかしトキは30年前に一度、日本の空から姿を消した。もともと里山に舞い降り、田んぼなどの湿地で餌をとる鳥だったトキ。最後に残ったトキを追い詰めたのは、農薬の使用が広がり、餌となる生きものが田んぼから消えたことだと言われている。
佐渡は、トキが最後まで残っていた島。その佐渡で、中国から贈られたつがいのトキを元に、人工繁殖の試みが始められたころ、いつかきっと実現するだろう放鳥を願い、動き始めた人々がいた。最初はたった7軒の農家で結成された「佐渡トキの田んぼを守る会」。自分たちの田んぼをトキの餌場の一つにしようと、2002年から農薬や化学肥料を使わずに作る米作りに挑んだ農家のグループだ。
番組では、2002年から現在までの、農家たちの苦闘を描く。当初、トキのために無農薬栽培に挑むという試みは、周囲から冷ややかに受け止められた。しかも、実際に除草剤を使わずに行った米作りでは、田んぼが雑草だらけになってしまう。農家としては、大幅に収穫量を落とすことになり、苦労の連続だった。その中で農家たちは、農法の改良を重ね、放鳥が実現する2008年になってようやく、通常の農法に劣らない収穫量をあげることに成功する。
佐渡では人々の意識も変わっていった。これまで変わり者扱いされていた「守る会」の農家たちが、いつの間にか、島全体の米作りを先導する役目を負うようになっていた。 米価の低迷が続く中、米農家の現状は今ますます厳しくなっている。その中でも「生きものとの共生」に喜びを見出しながら、新しい米作りに挑み続けた佐渡の農家の10年を描く。

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