5月9日(日)放送
被害者が語る地下鉄サリン事件

写真・:リカバリー・サポート・センターによる問診

 

3月20日、地下鉄サリン事件から15年が経過した。13人の死者、6300人を超える健康被害を出した、未曾有の化学テロ。緊急の手当ての後、心身の後遺症と不安を抱えながら暮らしている人は今なお多い。通勤や通学途上の日常生活の中で、事件に巻き込まれた被害者たちは、この15年をどのように生きたのか?そして、今、何を思うのか?
第二次大戦前夜のドイツで開発され、殺傷力の強さのため「貧者の核兵器」といわれる毒ガス サリン。後遺症についてはデータが乏しく、事件当時は「ない」とも言われた。だが、NPO法人リカバリー・サポート・センター(理事長 木村晋介弁護士)が事件翌年から続ける無料検診で明らかになったのは、目の障害や疲れやすさ、記憶障害など、心身の後遺症が続いている事実である。 ETV特集では、2月、リカバリーサポートセンターに登録する1330人の被害者にアンケート調査を実施。回答の中には、後遺症をひた隠しにして仕事を続けたが退職に追い込まれた人、加害者の報復を恐れて沈黙してきた人もいる。警察、消防など職務として関わり、目に見えぬ後遺症を負いながらサポート体制の欠如に割り切れない思いを抱くなど、「今だから語れる」胸に秘めてきた15年が浮かび上がってくる。
番組では、被害者の証言で、「あの時、そして今」をつづる。被害者たちの傷つけられた生活や人生の「回復」に注目。それを妨げるもの、助けるものは何だったのか、「地下鉄サリン事件」が社会に問うたものを検証する。

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