9月20日(日)放送
社長たちの決断 〜生き残りを模索する中小企業〜

写真・左:金時豆の収穫を視察する食品会社の社長(右側)
写真・右:後継者がいないためM&Aで会社を譲渡した菓子の老舗・梅屋(旭川)

中小零細企業のM&Aが加熱している。背景にあるのは、日本の経済成長を支え、いま老齢を迎えようとしている社長たちが抱く深刻な「先行き不安」である。
中小零細企業同士のM&Aを専門に手がけてきた「日本M&Aセンター」(東京・八重洲)。M&Aと言っても、手がける案件はIT企業ではなく、日本の戦後を支えてきた製造業などの中小零細企業だ。社長は老いを迎えたが後継者はおらず、かといって会社をたたんで従業員を路頭に迷わすこともできない・・・そんな会社が続々センターの門を叩く。
去年秋からのアメリカ発世界同時不況の余波で、この春から社長たちの先行きへの不安は高まっている。全世界的な企業活動の萎縮は近年好調だった日本の製造業を直撃、特に製作機械などは、生産設備の60%休止も珍しくないという状況である。バブル崩壊の時とは違って、本業そのものが傾いたことで、得も言われぬ「不安」が中小零細企業の現場を覆っている。
「先行き不安」から足もとが明るいうちに手塩にかけた企業を手放してしまいたいという社長。一方、買い手も「先行き不安」の閉塞感にさいなまれる中小零細企業の社長たちで、なんとか現状を打開したいという焦りが企業買収に走らせる・・・
マネーゲームとは全く異なり、企業の生死を賭けた中小零細企業のM&A市場。そこはいま、戦後の日本経済を支えてきた社長たちの人生の総決算とも云うべき決断の場となっている。
番組は、企業を売りに出す社長、買いに走る社長・・・空前の不況下で老いを迎えようとしている社長たちの姿を克明に描くことで、中小零細企業が追い込まれた苛酷な現実を浮かび上がらせていく。

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