6月21日(日)放送
自分を語り、人とつながる 〜春・柴島高校1年2組〜

写真・左:学校開き
写真・中:クラス合宿
写真・右:大阪府立柴島高校1年2組の生徒たち

 

大阪府立柴島(くにじま)高校の新入生は、入学早々、大きな試練に立たされる。徹底的に「自分を語る」ことが求められるのだ。「すべての生徒が自分の考えや悩みを語り、お互いを認め合おう」と、この高校が20年前から続けている取り組み。しかしまわりを気にするイマドキの高校生たち、よく知らないクラスメイトに対し、「自分を語る」なんて、なかなかできない。

そこで学校が用意する行事の1つが4月中旬の「学校開き」。数人の2、3年生が全校生徒を前に「自分の過去」を告白する。大阪の下町にある柴島高校は、4分の1の生徒が母子家庭。外国籍や同和地区出身の生徒も多く、差別されたり、挫折した体験をもつ生徒は少なくない。それを堂々と話す先輩たちを見て、新入生たちは衝撃を受ける。

次に4月下旬行われる1年生全員参加の1泊2日「クラス合宿」 。兵庫県の民宿へクラスごとに分宿し、初日の夕食後、1人ずつ自分について語っていく。最初恥ずかしがっていた生徒たちは、次第に苦しいことや、つらかった体験など、心にしまってきたものを語りだす。いじめの経験、心の病、親の国籍…。最近多いのは、経済的な苦しさを抱える家庭の問題。話した仲間は深夜遅くまで語り合う。しかしうまく話せなかったり、誤解されることを言ってしまう生徒も…。「自分を語る」ことは始まったばかりだ。

その後、学校に戻ると、クラスの団結を問われる体育祭への準備が始まる。6月はじめの体育祭でクラスはまとまることができるのか。

柴島高校新入生の1つのクラスに、入学後から2か月にわたって密着。「すべての生徒が自分を語る」ことができるか、そして「お互いを認め合う」関係を築くことができるのか。いまを生きる高校1年生40人の、心のひだを見つめたい。

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