4月19日(日)放送
アンコール(2008年11月2日) 東京・山谷 最期を生きる 〜あるホスピスケアの試み〜

写真・左:スタッフにも見守られて穏やかな最期
写真・中:施設の屋上から隅田川花火を楽しむ入居者たち
写真・右:スタッフの後押しで久しぶりに外出した入居者

 

東京・台東区の山谷地区。ドヤ=簡易宿泊所が軒を連ねるこの街に、「きぼうのいえ」という名のホスピスケア施設がある。鉄筋4階建、全21室。ガンや重篤な病を抱えながら、財産もなく身寄りもない、つまりどこにも行き場がない人たちの最期の場所として2002年に開設された。以来80人近い人々がここで看取られてきた。

「きぼうのいえ」の入居者のほとんどは、人生のあらゆる辛苦を山谷でなめてきた人々。一方で労働者として高度成長を下支えしてきたという誇りもある。たくましさやしたたかさ、屈折した面を併せ持つ、一筋縄ではいかない面々だ。
そんな彼らが病を抱え、施設に次々と運ばれてくる。迎えるのは、専属のスタッフやボランティア、そして外部の介護・医療パワー。「人生を生き直す場所」というモットーの下、献身的なケアを行っていく。最期の時に向けて築かれる両者の関係。拒絶、同情、死への恐怖、安らぎ…。施設では、きれい事ではすまされない現実が日々繰り返される。
同時に「きぼうのいえ」の取り組みは、最底辺の人々を支えるセーフティ・ネットとして注目されている。従来にはない発想で、あらゆる社会資源を駆使しながら在宅型ホスピスケアを行っているのだ。

日本の縮図とも言える山谷とそこで最期を迎える人々。
番組では福祉、医療、格差、個人の遍歴…、社会や人生のさまざまな糸が交錯する「きぼうのいえ」の日々を見つめていく。

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