1月18日(日)放送
ミャンマーに医療のかけ橋を

写真:ワッチェ病院病棟担当 看護師 梅田さん

 

2008年、巨大サイクロンに襲われたミャンマー。ここで日本の医療ボランティア「ジャパンハート」(代表吉岡秀人医師・43歳)が奮闘している。ミャンマー中部のサガイン地区の村にあるワッチェ慈善病院を拠点に、去年だけで数千人の患者を診察し、800以上の手術を行ってきた。感染症、風土病、破傷風やさまざまなケガの患者・・・。医療設備が不足する中、ジャパンハートは内科も外科も小児科も、手術も投薬も、あらゆる治療法を駆使し、急を要する患者に治療を施してきた。

「医療の無い所に医療を届けること」をモットーに地道な医療活動を続けるジャパンハートでは、今、ある試みが始まっている。それはミャンマーで培った医療経験を日本でも生かそうというものである。ミャンマーでの活動に参加した若い医師や看護師は、医療の原点を深く考え、本来の医療とはいかなるものかを自問自答する。日本ではともすれば忘れられる“患者の人生との関わり”を日々考えているのだ。医療に対して「専門分化」と「経営化」が強く求められている現在の日本。患者と医療者の間には、過度な緊張感が増してきている。責任を追求する患者側、責任を回避しようとする医療者側。それがともすれば“たらい回し”や医師不足の遠因になっている―。

ジャパンハートでは、ミャンマーでの経験を積むことで”医療の原点“を見抜く人材が育ち、彼らが日本に戻った時、結果的に日本の医療がよい方向に向かうのではないか、と考えているのだ。地道な活動を通して、ミャンマーの人々の信頼を得るジャパンハートのメンバーたち。そこには、ただ“人助け”のためだけにミャンマーに行くのではなく、”ミャンマーに医療を学びに行く”んだ―という謙虚な姿勢も秘められている。

このジャパンハートには、去年までの4年間で、長期短期あわせて100人以上の医師と看護師が参加した。多くがその後、沖縄・久米島、隠岐、山梨県の山間の村などで、医療に携わっている。

番組では、ミャンマーで“医療の原点”を学ぶ若い医師と看護師の成長を取材し、日本の医療の現状に問いかける。
Copyright (C) NHK(Japan Broadcasting Corporation) , ALL rights reserved. 無断転載・転用を禁じます。