10月12日(日)放送
戦争は罪悪である 〜ある仏教者の名誉回復〜

写真左:竹中彰元
写真右:竹中が住職をつとめた岐阜の明泉寺前に建てられた記念碑

 

日中戦争がはじまった1937(昭和12)年7月、大多数の宗教者が戦争に協力していく中で「戦争は罪悪。この戦争は侵略である」と説き、検挙された僧侶がいた。真宗大谷派の高僧・竹中彰元。警察の追及にも信念を曲げず、本山からも布教使資格のはく奪処分を受けて、1945年にこの世を去った。

長らく忘れられていた彰元の行動が再び脚光を浴びたのは70年近くが過ぎてから。300ページにおよぶ当時の取り調べの記録が寺でひそかに保管されていた。そこには、事件当時の関係者の証言と共に、彰元の信念も赤裸々に記録されていた。地元の人々や多くの宗教者たちの熱心な運動により、去年10月、本山はついに彰元の名誉回復に踏み切る決定を行う。彰元が検挙されて、実に70年ぶりのことだった。

本来「殺生」を禁じた仏教界はなぜ戦争に協力したのか。そして竹中彰元師はいかにして抵抗の信念を貫いたのか。発見された記録や関係者への取材をもとに描き、これまであまり取り上げられなかった「宗教者の戦争責任」について考える番組としたい。

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