8月31日(日)放送
ロシア ロマノフ王朝の悲劇 90年目の遺骨発見
     

写真:ロシア皇帝ニコライ2世の一家

 

5月、90年間不明となっていたロシア皇帝ニコライ2世の子供2人の遺骨が確認された。
アメリカでのDNA鑑定よってシベリアで発掘された遺骨がニコライの長男と娘であることが判明したのである。

革命時に処刑された皇帝一家の生き残りが世界のどこかでロマノフ王朝復活を目論んでいるといううわさはこの1世紀、世界中の人々の興味をかき立ててきた。今回の発見は、20世紀最大の謎の一つとされ、映画にも描かれたアナスタシア伝説にも終止符を打つことになる。

また、今回遺骨発見に伴い、アーカイブから新たな資料が公開された。そして、ソビエト時代極秘にされた最も恥ずべき犯罪 ―― 革命政権による残忍なニコライ皇帝一家惨殺の詳細が明らかになった。

ソビエト崩壊後のロシアにとって「皇帝問題」は、常に国策に大きく影響してきた。エリツイン大統領は、ニコライ皇帝の国葬を執り行い、共産主義との訣別を内外にアピールした。プーチン大統領は、ニコライ皇帝を聖人に認定、国民の祈りの対象とした。今回、最後の皇帝一家の遺骨発見は、帝政ロシアの伝統回帰を目指す政権にとって,再び「皇帝の受難と悲劇」を国民に知らしめるものとなる。

番組では、遺骨発見とその科学分析についてナショナルジオグラフィックの記録映像を入手し、最新の資料から処刑の歴史的背景を明らかにする。そして大国への道を歩み始めたロシアの「皇帝神話」を解析していく。

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