6月24日(日)放送
疾走する帝王 マイルス・デイビス 〜菊地成孔のジャズ講座〜
 

写真:マイルスについて語る、サックス奏者・菊地成孔

ジャズの帝王― 1940年代から90年代前半まで、半世紀に渡ってジャズの最先端であり続けた男、マイルス・デイビスの愛称だ。しかし、マイルスのジャズは「黒人文化」としてのジャズとはかなり趣が異なる。

サックスプレイヤーで気鋭の“マイルス”評論家・菊地成孔(なるよし)は、おととし東京大学教養学部で「マイルス論」の講義を行い、こう述べている。「マイルスのジャズは、虐げられた黒人の叫びでもなく、民族を背負った音楽でもない。しかし、孤独感や空しさなど都会人の感情をゆすぶる普遍的なフレーズに満ちているため、今も全世界の心に響き続けているのだ。」

マイルスはビバップに始まり、ハードバップ、モード、エレクトロニック、フュージョンと、次々とそのスタイルを進化させてきた。裕福な家庭で何不自由なく育ったマイルスは、「大衆を虜にするスターでありたい」という願望を原動力に音楽にのめりこむ。実際、彼はフランク・シナトラ、ジミ・ヘンドリックス、マイケル・ジャクソンたち、時代を象徴するスターたちと絶えず影響しあい、自らのスタイルに彼らの要素を溶解させることで、変化し続けたのだ。

「マイルスは、最後までスターになりたかった永遠のガキで、いわば“ミーハー”帝王だ・・・・・・・」

番組では、マイルス狂サックス奏者・菊地成孔の実演つきで、常にスターでありたいと格闘したマイルス・デイビスの“知られざる”人間像・音楽観を読み解いていく。また、日本のジャズ史と比較しながら、今なお多くの音楽ファンを魅了するマイルス・デイビスの音楽の真髄を解読する。

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