2月4日(土)放送
第1部 “学校”は変われるのか 教育への民間参入を考える
写真左:エリート教育を行う株式会社立の中学校
写真右:不登校児を受け入れる中学校の体験学習

 2002年12月、構造改革特別区域法が施行されて以来、それを活用した学校の設立が相次いでいる。特に注目を浴びているのが、株式会社やNPOが経営母体となる学校の誕生である。「校地・校舎を自己所有しなくても、学校を設立できる」ため、新規参入が比較的容易になったのである。

 株式会社立については、現在までに11社が学校を作り、去年10月には、互いの連携を図る学校設置会社連盟も誕生した。「財政面での安定性に疑問がある」、「学校の序列化が進み、格差が広がっていく」といった批判もある中、難関校進学専門、通信教育重視など、規制の枠組みにはとらわれないユニークな学校作りにより、従来の教育には合わなかった子どもたちの受け皿として確実に機能し始めている。

 一方、NPO法人立の学校は現在までゼロ。私学助成金が全く受けられない状況では、資金調達方法が多様な株式会社と異なり、財政的に成立しにくいためだ。結果、NPOは学校法人に姿を変えることで私学助成を得て、現在3校が開校。しかし、助成金を得ても、いずれの学校も財政的に厳しく、NPO時代にはなかったさまざまな問題を抱える。特区制度を利用した「新しい」学校の現状を取材し、その可能性と課題を探る。

第2部 “住民投票”の10年 民主主義はどう変わるのか

 「日本の議会制民主主義をこわす」「革命的行為だ」「衆愚政治に陥る」──かつて国政を妨げるとして危険視もされた住民投票。それがいまや全国各地で年間150件以上(2004年)行われる一般的な政治手法となり、去年の衆院選挙は「郵政民営化を問う国民投票だ」とまで言われた。

 新潟県巻町で全国初めての条例に基づく住民投票が行われてから10年がたつ。住民投票という直接的に民意を伝える手法は、どのような変化を遂げてきたのか。

 住民投票に関するNHKアーカイブスの資料映像は5000件をこす。番組では、この豊富な資料映像と新たな取材によって住民投票10年の記録をひもときながら、住民投票という地方政治のうねりが日本にもたらした意義を探り、民主主義の将来を見つめる。

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