5月21日(土)放送
タクシードライバーの長い夜
 この8年で平均年収が100万円以上も下がった業種がある。タクシー業界である。1996年、414万だった平均年収は、去年308万円(全国平均)にまで激減した。家族を養うのも容易ではない。

  その理由は「不況」だけではない。2002年に導入された「規制緩和」による過当競争と価格競争が大きな原因である。タクシー業界には他の産業で職を失った人や不況地域から出稼ぎにきた人々が続々と流れ込む。タクシー会社は規制緩和の中で、どんどん営業車を増やし、価格競争にもしのぎを削る。かくして所得が下がってしまうタクシー運転手が現れる。また過当競争は事故につながらないか、と心配する声もある。

 去年、規制緩和で大口顧客(企業)への3割までの割引きが認可された。料金値下げを検討するタクシー会社も相次いでいる。

 「規制緩和のモデルケース」と言われたタクシー。大幅な規制緩和から3年、現状はどうなっているのか。規制緩和の光と陰を見つめる。
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