5月14日(土)放送
ロシアの映像詩人 ノルシュテイン 日本をゆく
 世界最高峰のアニメーション作家、ユーリー・ノルシュテイン。ロシア人でありながら、彼は昔から日本のアニメーションに興味を持ち、日本人アニメーション作家と交流を深める中で、精力的に若手の育成にも関わってきた。その成果が認められ、去年ロシアの芸術家として、日本政府より叙勲された。

  アート・アニメーション。大手の映画スタジオが作り出す商業アニメーションとは一線を画し、少人数で作られる芸術性の高い短編アニメーションのことである。彼の作り出す芸術性が高く、詩情あふれるアート・アニメーション作品は、世界のアニメーション作家から大きな支持を得ている。現在彼は、ロシア人作家ゴーゴリの小説「外套」を原作にしたアニメーションの制作を続けている。制作期間はすでに24年に及んでおり、ノルシュテインの最高傑作になると、世界のアニメーション界が期待する作品だ。「ロシア人とは何か」「人間とは何か」。人々の心の中を、せりふを使わず、映像だけで表現する独特のノルシュテイン・タッチで、この大きなテーマに取り組んでいる。

 その一方で、ノルシュテインは日本のアニメーションの可能性に注目し、毎年日本でコンペティションを開きながら、日本の若者たちを指導している。そこから、世界の舞台に羽ばたく新しい才能あるアニメーション作家も育ち始めている。

 番組では、作家ノルシュテインの大作、「外套」の最新の制作現場も織り交ぜ、ノルシュテインのアート・アニメーションの世界を紹介。来日し、アニメーションを志す日本の若者たちと交流するノルシュテインの同行取材と、彼と日本のアニメーション作家たちとの対話を軸に、アニメーションの可能性を探る。

出演:高畑勲 監督、川本喜八郎 監督、山村浩二 監督、イッセー尾形
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