2月12日(土)放送
ブレイク・スルー 〜最先端の創造者たち〜
 今、最先端の技術開発のキーワードは「融合」である。これまでは困難だとされた技術の「壁」を乗り越える、ブレイクスルー。それは、異分野の発想や技術を「融合」させることから生まれていることも多い。

 実現が期待されている「完全埋め込み型人工心臓」。その開発が、今、東京大学医学部の生体工学研究室と工業デザイナー・川崎和男氏の共同研究で進められている。20世紀に始まった人工心臓の研究は、これまでさまざまな壁を乗り越え、続けられてきた。そして今、東大が蓄積してきた人工臓器研究、川崎氏の「トポロジー理論」。この異質な分野を合体させ、壁を乗り越え、実用化を目指すアプローチが続いている。

 極小のロボットを開発して、人体に送り込み治療をするこのSF映画さながらの夢の実現に情熱的に取り組む研究者がいる。名古屋大学システム工学、生田幸士教授。彼が目指すのは、マイクロマシンの技術と医療との「融合」である。大きさが1万分の1ミリの世界。人体により安全な「光」を動力にした夢のマシン。すでに細胞をつかみその性質を調べたり、タンパク質を合成することに成功した。鉄腕アトムにあこがれて技術者になった生田教授は、新しい医療の姿を生み出そうとしている。

 「融合」の中から「ブレイクスルー」を生み出そうとしている、日本の最先端技術の現場の取材を通して、技術開発のあるべき方向性とは何か、そのヒントを考える。
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