1月15日(土)放送
阪神・淡路大震災10年 作家・高村薫 思索の旅
 作家・高村薫さんは吹田市の自宅にいて、阪神・淡路大震災の揺れを経験した。殺人事件を追う警察小説を書いてきた高村さんは、震災後その作風が大きく変わった。この現実に勝るフィクションはない、と小説の中で人を殺すことができなくなったのだ。

 震災で亡くなった多くの人々の命。震災の被害から立ち直ろうと力強く生き続ける人々。「無名の人たち」の人生こそが尊いと高村さんは感じ、市井の人々に目を向けるようになった。

 日本の行く末。五十年・百年の単位で日本はどうなっていくのか。高村さんは考え続ける。住宅密集地を解消し、高架を減らす・・・百年かけて「人が死なない街」を作るべきだと思いをはせる。震災の犠牲者の命を無駄にしないためには、もう二度と同じような悲しみを繰り返してはいけないという強い思いがあるからだ。

 失われた多くの命を前に語る言葉がない、とこれまでテレビでは多くを語ってこなかった高村さんが、それぞれ震災について思索し行動する写真家・立木義浩、棋士・谷川浩司、消防研究所理事長・室崎益輝の3氏とトークしながら、日本と日本人はどう変わったのかを探っていく。そして阪神・淡路大震災によって変容した自らの思索の軌跡をたどる。
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