12月11日(土)放送
北からきた少女 〜韓国・脱北者の日々〜
 韓国入りする北朝鮮難民、いわゆる「脱北者」がここ数年急増している。2003年は1279人、2004年は2000人を超えるものと予想されている。脱北者のうち、保護者のいない「無縁故未成年者」は100人を超えるようになっている。いま、こうした子どもたちの受け入れが韓国で大きな問題となっている。

 ソウル近郊のアンサン市にあるNGOの支援施設「タリの家」(タリは橋の意味)では、脱北した身寄りのない子どもたちを受け入れてきた。現在11人(男8人、女3人)が共同生活をしながら地元の学校に通っている。

 キム・ヘランさん(仮名・16歳)は、中国から東南アジアを経由して2002年末、韓国にやってきた。彼女は「ハナ院」という定着支援施設で2ヶ月間の韓国社会適応訓練を経て、中学校に通い始めた。しかし、韓国との著しい学力差、言葉や習慣の違いから、疎外感に悩んできた。北朝鮮をおそった大飢きんで父を失い、1998年、母と共に中国に逃れた。しかし母とは中国で生き別れてしまう。去年11月ヘランさんのもとに、母が韓国に入国したという知らせが届いた。2月末、再会。母と韓国ソウル近郊で暮らし始めた。ヘランさんは今、大学入学資格検定試験を目指して、NGOが始めた脱北者の子どもたちだけを対象とした 塾に通いながら勉強に励んでいる。

 韓国のジャーナリスト、チェ・ジヨンさんとアン・ヘリョンさんの長期にわたる取材をもとに、脱北してきた少女たちの軌跡との中のかっとうを描く。
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