5月15日(土)放送
「フォーク」であること〜60年代フォーク歌手たちは今〜
 
 1960年代から70年代、日本が高度経済成長をとげ学生運動や安保闘争で社会が騒然としていた時代。高石ともや、高田渡、岡林信康らが歌ったメッセージ性のあるフォークソングが、若者たちの熱狂的な支持を受けていた。

 「関西フォーク」とよばれる彼らの歌や、生き方そのものが今静かな注目を浴びている。最近では、高石ともやを始めとする60年代のレコードがCD化、24時間京都駅頭ライブも始まり、今年4月には高田渡の音楽ドキュメンタリー「タカダワタル的」が公開され、ニューアルバムも発売される。フォークスタイルの曲を歌う若い歌手も増えてきた。

 80年代以降、彼らは表舞台から姿を消したが、一貫して日常の実感を込めた歌を歌い続けている。そして、高石ともやの言葉を借りれば「自らが民衆の立場にいるから、民衆の歌を歌える」と、清貧とも呼べる暮らしを送ってきた。

 いまなぜ「フォーク」なのか。

 番組では、彼らの歌とその原点となってきたこれまでの生き方に迫り、時代をこえて歌い継がれる「フォーク」(人々の歌)とは何かを考えていく。


出演:高石ともや、高田渡





高石ともや(1941年生まれ 「受験生ブルース」「陽気にゆこう」など)

  大学に8年も通いながら夜は屋台をひき、工事現場で働く人の気持ちをテーマに路上で歌い始め、歌手となった。その後、アメリカのプロテストソングを積極的に日本に紹介。つねに「フォークのあるべき姿」を模索し続けてきた。1969年「冬眠宣言」後は、家族で北陸の廃校に移り住み、「家族と暮らす幸せな日々」を送る。76年35歳ではじめたマラソンは自らの内面を見つめ歌うために欠かせない生活の一部となった。昨年6月からは、「辻説法」と称し、30年ぶりに自らの原点である路上で再び歌いはじめた。24時間200曲以上を歌う「歌マラソン」を敢行。今年も予定している。 


高田渡(1949年生まれ 「生活の柄」「自衛隊に入ろう」など)

 母を早くに亡くし、日雇い労働者の父と過ごした下町での極貧生活が高田渡の原点。

 どん底での体験や風景を同じ目線で淡々と歌う高田の姿勢はデビュー以来、35年経った今も一切変わることはない。40年前に建ったオンボロの木造アパートにずっと暮らしつづけ、散歩の道すがら焼き鳥屋で焼酎を飲む生活の中から歌を紡ぎ出してきた。

  昨年、東京国際映画祭に招待され評判を呼んだドキュメンタリー映画「タカダワタル的」は、俳優柄本明氏が長年暖めていた企画で今年4月から劇場で公開されている。
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