1月31日(土)放送
第1部 日本を買う中国


 
 長引く不況の下で苦しむ中小企業。その中で、外資の力を借りて、会社を立て直そうとする動きが加速している。中でもアジア資本が、技術力のある日本の中小企業に注目している。
 
 経営は芳しくなくても、「技術力」と「取引ネットワーク」に、キラリと光るものがある日本の中小企業。国や自治体も、企業倒産を減らすために、製造業に興味を示すアジアの企業へ、投資をあっせんし始めている。
 
 特に2000年の江沢民講話「能力のある企業はどんどん海外進出せよ」以来、中国は海外との合併、海外企業への投資に積極的になっている。広大な中国の市場、中央や省政府からのバックアップを背景に、海外企業の「技術力」と連携し、高成長につなげる戦略が掛かっている。
  
 金融機関からの資金調達がなかなかままならない日本の中小企業としても、メリットがある外国資本の導入。中小企業の技術力を媒介に、新しい日本とアジアとの関係が始まっている。
 
 具体的なケースを通して、現状を見つめていく。
第2部 倒れてのち始まる〜高野悦子・鶴見和子 10年ぶりの対話〜


 世界に埋もれた名作映画を発掘、上映し続ける岩波ホール総支配人・高野悦子(74歳)と国際的社会学者・鶴見和子(85歳)。2人の出会いは敗戦直後。大学生だった高野が、鶴見が入会していた「伝統芸術の会」に参加し、出会って以来の仲だ。高野は、国際的な広い視野を持ちながら日本の文化を大切にし、志高く生きる鶴見を生きる手本としてきた。また鶴見は、それまで切り捨てられてきたアジアや第三世界の映画に目を向け小ホールを拠点に映画文化の向上に努める高野を、「私の社会発展の理論をまさに実践している」と評価する。戦争、留学、親の介護、趣味の舞踊…と人生で重なりあう部分も多く、半世紀を越えて友情をはぐくみ、影響し合いながら生きてきた。
 
 その2人が、70歳を越え、ともに病に倒れた。8年前、鶴見は脳出血で左半身マヒとなり、車イスの生活となった。高野は3年前に肺血栓塞栓症を患い、肺の機能の3割を失った。しかし、鶴見は「見えなかったものが見えてきた。私にはひとつの新しい展開があった」と言い、高野は「身体は不自由になったが、魂は自由になった」と言う。
 
 番組では、病んでこそ知り、老いてこそ始まるという体験をした2人が、久しぶりに再会。まったく新たな境地でこれまで歩んできた道を振り返り、これからさらに目指すこと、日本人としてすべきことについて語り合う。

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