4月12日(土) 放送
美輪明宏・一番美しいもの〜波瀾の人生、交友、美学のすべて〜
 美輪明宏さん。セクシュアリティーを超えた特異な存在として、68歳になった今も、舞台や講演は超満員。ラジオや雑誌での人生相談も大人気である。ファン層は10代から80代と幅広く、独特な美意識や波瀾万丈の人生から生まれた人生哲学が現代人の心をとらえている。

 美輪さんは、1935年長崎生まれ。2歳で実母を亡くし、10歳で被爆。16歳で単身上京、音楽を志すも、父の事業の失敗で極貧に落ちる。「メケメケ」の大ヒットで一躍スターとなるが、その美しさは賞賛と差別の両方を浴びた。やがて詐欺にあってばく大な借金を抱え、どん底で人生の表裏を味わい尽くす。その間に三島由紀夫、赤木圭一郎ら多くの人々との「出会いと別れ」があった。物事には常に陰と陽、正と負の両面があり、きれいなものは汚く、汚いものはきれい、というのが、美輪さんの哲学である。

 今春、美輪さんは、三島由紀夫脚本の『黒蜥蜴』を再上演する。美輪さんは主役の女盗賊・黒蜥蜴を演じ、演出・美術と舞台すべてを統括。三島と16歳で出会い、自決する直前まで続いた深い交友、三島の感性や文学に精通した美輪さんの「黒蜥蜴」は伝説の舞台と呼ばれ、発売1週間で全席が完売。美輪さんは、主人公の黒蜥蜴に自らの人生を重ね、男と女、人間の裏表を知り尽くしたあばずれ女が、死ぬ前に見せる一瞬の純情の輝きを演じてみせる。

 番組では、今回の舞台を作り上げる美輪さんの演出家としての姿をテレビとして初めて取材。台詞を読み解き若い俳優をしったし、小道具一つ一つにこだわる上演までの一ヶ月を縦軸に、美輪さんが自らの人生、美学、交友を余すところなく語り、常に両極をみつめてきた異端の人、美輪明宏の本質に迫る。
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