
東日本大震災から4年。若い世代を中心に人口が減り続ける被災地では、一気に高齢化が進み、近い将来にやってくる日本の超高齢社会を先取りした状況が生まれている。
そんななか、大きな問題となり始めているのが介護する側の人材不足だ。福島県南相馬市では、去年2月に大規模高齢者施設が開所したが、原発事故の影響で若い人々が急減したため、介護スタッフが集まらず、新規の入所希望者を受け入れられない非常事態が続いている。長引く避難生活で要介護となる高齢者が急増しているが、施設はどこも満床で、常に200人、300人待ちの状態。町は、行き場のない高齢者であふれている。
追い詰められた老人が、みずからに言い聞かせるように、つぶやく。
「頑張るより、しょうがねえ」。
はいかいを繰り返す認知症の夫を、仮設住宅で介護し続ける妻。
歩けなくなった妻のために、津波で流された自宅の再建に奔走する夫。
番組では、日に日に追い詰められてゆく介護現場の実態を伝えるとともに、震災後の福島で始まった介護予防の新たな取り組みを紹介しながら、逆境の中、なんとか希望を失わずに前を向いて生きようとする人々の姿を描く。
語り:國村隼
(内容59分)