2014年11月1日(土)
【再放送】2014年11月8日(土)午前0時00分
※金曜日深夜    

除染のゆくえ
~畑村洋太郎と飯舘村の人々~

「失敗学」や「危険学」を提唱し、日本社会の「危険と安全」のあり方を見つめてきた東大名誉教授、畑村洋太郎さん。その畑村さんが、被災地・福島で地元の住民とともに独自の除染実験に挑んだ。

畑村さんは3年前、政府の原発事故調の委員長に就任。その「最終報告」に政府報告書としては異例の7項目もの「委員長所感」を掲げた。「見たくないものは見えない、みたいものだけが見える」。「あり得ることは起こる、あり得ないことも起こる」。「危険の存在を認め、危険に正対して議論できる文化をつくる」・・・。畑村さんが、事故調査を通して日本社会に問うたのは、原発事故を生んだ、この国の「危険と安全」の考え方の歪みそのものだった。

それから1年、畑村さんは、みずからの訴えた「危険と安全」の考え方の歪みが、今も形を変え原発被災地を覆っていると感じていた。計画どおりに進捗(しんちょく)しない除染、故郷に帰れないまま増え続ける震災関連死、そして崩壊しつつある共同体・・・。危機を前にしても誰もそれを正面から受け止めない現状に、畑村さんはみずから打開のきっかけを見つけるべく除染実験に乗り出すことを決めた。

畑村さんがその鍵と見るのが、除染によって生じる膨大な廃棄物の問題だ。除染廃棄物は、その行き場が定まらず各地で除染停滞の原因となっている。それを安全に処理する手法が開発されれば、除染、帰還、復興のプロセスは大幅に加速できるはずと畑村さんは考えたのだった。畑村さんの実験には全村避難が続く飯舘村の住民たちが参加。住民らもまた、3年ものあいだ硬直化した現状に、みずから動き出すきっかけを求めていたのだった。

NHKは、政府事故調委員長当時から畑村さんの思考と実践を独自に長時間記録してきた。番組は、それらの記録とともに、今なお福島から問いと実践を続ける畑村洋太郎さんの姿をみつめる。

(内容59分)

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