2014年6月28日(土)
【再放送】2014年7月5日(土)午前0時00分
※金曜日深夜    

ふるさと“水俣”に生きる
~次世代からのメッセージ~

水俣で人気のお笑いトリオ「やうちブラザーズ」。漁師・杉本肇さん(53)と弟の実さん(48)、親戚の鴨川等さん(45)で結成、地元の祭りや県外でも公演する。杉本さんの両親や祖父母は水俣病を発病し、差別で苦しんだ。母・栄子さんは、「水俣病ものさり(天からの授かり物)と思え」などの言葉を残し、6年前に亡くなった。「大きな悲しみに直面した人には笑いが必要」。笑いの原点には、母・栄子さんを元気づけたいという子どもたちの思いがあった。
公式確認から58年を迎えた5月1日。水俣病犠牲者慰霊式で、患者・遺族代表として「祈りの言葉」を述べたのは川本愛一郎さん(56)。父親は水俣病患者で、埋もれたままの患者の掘り起こし運動に取り組んだ故・川本輝夫さん。川本さんは今、語り部として父を語るとともに、介護施設を運営し、父が目指した「その人らしさの回復」を支援するリハビリの仕事に取り組む。
原田利恵さん(46)は、去年まで2年間、国立水俣病総合研究センターの研究員として水俣に住み、地域再生の調査研究に取り組んだ。利恵さんの父親は、水俣病研究の第一人者で医師の故・原田正純さん。常に現場に足を運び、50年以上水俣病に向き合い続けた。利恵さんは、大学院の修士論文で、自身の体験とも重ね合わせるように、水俣病患者第二世代の人たちに聞き取りを続け、論文にまとめた。聞き取りをするうちに、悲惨な経験を乗り越え、水俣病患者の子であることにむしろ積極的な意味を見いだしている力強さに圧倒された。
両親や祖父母が水俣病患者で、自身は子どもとして水俣病に向き合った水俣病の第2第3世代。今、さまざまな形でふるさと水俣を受け継ぎ、新たなメッセージを発し始めた。

(内容59分)

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