2013年8月17日(土) 夜11時
【再放送】2013年8月24日(土)午前0時45分
※金曜日深夜    

届かぬ訴え
~空襲被害者たちの戦後~

太平洋戦争中の空襲で重い傷を負った「戦災傷害者」は全国で48万人にのぼる。戦後長らく後遺症や差別に苦しみ、経済的に苦しい生活を強いられてきたが、国は「戦災は国民ひとしく受忍すべき」「国との雇用関係がない」という理由で、ほとんど何の救済も行ってこなかった。
名古屋空襲で左目を失った杉山千佐子さん(97歳)は、国による実態調査と救済を求める活動のかたわら、全国の戦傷者の姿を8ミリフィルムに収めてきた。これまでほとんど公開されてこなかった貴重なフィルムには、戦傷者たちが戦後歩んできた想像を絶する“苦難の人生”と、国への“失望”や“怒り”が赤裸々に記録されている。
しかしいま、空襲被害者は高齢となり、多くの人が亡くなっている。2007年以降、東京と大阪の空襲被害者が国家補償を求めて訴訟を起こしたが、最高裁は今年、原告の訴えを退けた。さらに、国会で援護法の成立をめざす運動も続けられてきたが、最初の法案提出から40年以上たったいまも実現にいたっていない。
戦後70年近く、忘れられてきた戦災傷害者。番組では、杉山さんの8ミリフィルム、そして今も生きる空襲被害者の証言から、彼らの人生と思いを描き、国は空襲による戦災傷害者にどう向き合うべきか、“戦後補償の空白”を問いかける。

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