2013年4月20日(土) 夜11時
【再放送】2013年4月27日(土)午前0時45分
※金曜日深夜    

仏像の魂に挑む
~東京藝術大学 若者たちの一年~

日本人の心に寄り添い続けてきた仏像。千年の時を経て守られてきたのは、明治の美術家・岡倉天心(東京美術学校・2代校長)が「廃仏毀釈」から仏像を守ろうと創始した文化財保存技術のおかげである。この技術はいま、東京藝術大学の小さな研究室に受け継がれている。文化財保存学・保存修復彫刻研究室。彫刻家で藝大教授・籔内佐斗司氏の指導の下、26名の大学院生や技術職員たちが仏像修復や模刻研究を行っている。
将来、仏像修復のプロをめざす若者たち。彼らの前に立ちはだかる大きな関門が、国宝級の仏像をその制作技法そのまま再現する「模刻」と呼ばれる研究である。いにしえの仏像と同じものを作りながら、過去の偉大なる作り手、仏師の存在に迫るという試みだ。3D写真解析など現代技術の粋も駆使して模刻に挑むが、それでもいにしえの仏師にどうしても近づけない、超えられない壁に苦しむという。籔内教授はいう。「藝術は文明や科学と違い、時間の流れと進歩が比例しない。千年前の仏像制作技術は圧倒的にレベルが高く、現代人は遠く及ばない。」彫る手が止まり悩み始める若者たち。そこにいにしえと現代の差異、現代人が失ってしまったものが浮かび上がってくる。
番組では、仏像の模刻制作に挑む2人の若者の1年を追いながら、日本人はなぜ千年以上も仏像を拝み続けてきたのか、仏像が現代人に語りかける「魂」について考える。

【取材させていただいた方】
東京藝大大学院 文化財保存学・保存修復彫刻研究室
○籔内佐斗司教授
○中村恒克さん(修士2回)
○中嶋莉恵さん(修士2回)ほか

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