2012年4月22日(日) 夜10時
2012年4月29日(日) 午前0時50分 再放送
2012年5月27日(日) 夜10時 再放送
2012年6月3日(日) 午前0時50分 再放送

誰に託す 医のバトン
~岩手・高田病院再建への一年~

東日本大震災で、およそ1800人が犠牲となった岩手県陸前高田市。巨大津波は、町の医療の拠点である県立高田病院の建物を丸ごと飲み込み、15人の入院患者と9人の病院職員の命を奪い去った。

震災から1か月後の4月4日、辛うじて生き残った病院職員は公民館に集まり、涙を流しながら再起を誓い合った。その日から、私たちはカメラを回し始めた。

定年退職を間近に控えた病院長・石木幹人さん(64)は、津波で妻を失った。絶望の淵(ふち)に立つ父を案じ、震災直後に駆けつけたのが娘の医師・愛子さん(27)。大都市の病院で専門医を目指して修行中だったが、道半ばで、高度専門医療とは無縁の僻(へき)地医療の現場に身を投じることとなった。

陸前高田は、もともと医師不足に苦しんでいた医療過疎地域だ。震災をきっかけに全国から応援の医師団が派遣されてきたことで、一時的に医師不足が解消されている。しかし、石木院長が退職し、応援医師の派遣も終わった時、どうやって町の医療を支えていけばよいのか。被災地に集まった医師たちは、高田病院の医師たちが暮らす仮設住宅で、毎夜テーブルを囲んで熱い議論を交わしている。厳しい医療過疎の現実を前に、将来を憂える応援の医師たち。そんな彼らに僻地医療の魅力を懸命に説き、いつの日か後を継ぐ者が現れると信じる石木院長。そして娘の愛子さんは、高齢者の自宅を一軒一軒訪ね歩き、ひとりひとりの暮らしを支える医療の姿に少しずつやりがいを感じ始めていた。

「医のバトン」は次代に託されるのか。陸前高田に集うさまざまな医師たちの声を通じて、被災地医療の明日を見つめる。

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