2012年2月26日(日) 夜10時
2012年12月16日(日)午前0時50分 再放送
≪ギャラクシー賞 2月度 月間賞≫

花を奉る 石牟礼道子の世界

受賞履歴

≪石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(2012)≫
≪地方の時代映像祭 選奨≫
≪ギャラクシー賞 選奨(2011)≫

水俣病問題の本質を問い続ける作家がいる。石牟礼道子さん、84歳。半世紀に渡って、文明の病としての水俣病を、そして近代日本が捨て去ってきた、人と自然が共に生きていた豊かな世界を描き続けてきた。

水俣病は今、“最終解決”に向かっているように見える。2009年、水俣病の特別措置法が成立、国は10年5月から“未認定”被害者の救済受付を始め、これまでに約5万人が申請している。しかし一方で、大阪地裁は10年7月、国の認定基準を否定する判決を下した。これまで2万4千人以上が認定を申請、認定された人は1割にも満たない。改めて水俣病とは何かが問われ、公式確認から半世紀以上たっていっそう混迷の度を深めている。

石牟礼さんは、熊本県天草に生まれ、水俣で育った。昭和44年、主婦の傍ら水俣病患者の悲しみと怒りを書きつづった『苦海浄土』を出版、水俣病を鎮魂の文学として描いた作品として絶賛された。現在は、熊本市に住み、パーキンソン病の症状に悩まされながらも、執筆活動を続けている。石牟礼さんは、作家やジャーナリストとしてではなく、水俣で暮らす者の視点から自分にとっての水俣を、ひとひらひとひら“花を奉る”がごとく書き続ける。今、水俣病問題が一時金などの支給ですべて解決されようとしている現状に対しては、疑問を感じている。水俣病の解決とは何か。患者さん達の魂が救済されない限り、水俣病が終わることはない・・・。

石牟礼さんのインタビューと、交流のある患者さん達の現状、そして作品の朗読を交えながら石牟礼さんの人生をたどる。さらに、近代とは何かを問い続けてきた石牟礼さんに、1年前に起きた東日本大震災はどのように映ったのか、水俣病が問いかけるものを見つめる。

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