去年7月、NHKディレクター久保田瞳の祖父・北島源六(享年90)が荼毘(だび)に付された時、お骨に混じって出てきたものがあった。それは「鉄砲ダマ」。生前、戦争体験に関してほとんど語らなかった祖父が、唯一話していたことが、「航空隊員として出撃したとき、敵の攻撃を受け、今も頭の中にその時の鉄砲玉が入っている」ということだった。
いつ、どこで被弾したのか。祖父の戦争体験を調べようと戦友を訪ね歩いたディレクターは、祖父が亡くなるまで心に秘めていた意外な事実を知ることになる。
戦争中、海軍の一式陸上攻撃機という7人乗りの飛行機で、偵察員として出撃を重ねていた祖父。敵の砲弾を受けた戦いを期に変わっていったという・・・。
戦後66年がたち、リアルに感じることができなくなった「戦争」。孫世代はどう受け止め、次世代に引き継いでいくのか。肉親の戦争体験を出発点にして、生と死の境をさまよった航空隊員たちの知られざる戦争を描き出す。