2015年 523日(土)よる11時放送
再放送530日 午前0時放送(金曜深夜)

ヴィニュロンの妻
日本人マダムと名門ドメーヌ 再起の闘い

世界的なワインの銘醸地、フランスのブルゴーニュ地方。その四季は、息をのむほどに美しい。霧に包まれる冬、薄緑の葉がまぶしい春、濃淡、緑のパッチワークが現れる夏、そして真っ赤に燃える秋。

ブルゴーニュの南端にあるサヴィニー・レ・ボーヌ村に、ここ十数年うなぎ登りに評価を高める名門ドメーヌ(醸造所を備えたぶどう生産農家)がある。その名声を支えるのは三代目当主・パトリック・ビーズの卓越した栽培技術と厳格な醸造法だが、その名が一躍脚光を浴びるようになったのは15年前。1人の日本人女性が同家に嫁いでからである。彼女の名はビーズ千砂。元エリート銀行員で3か国語を話し、ワインに造詣(ぞうけい)の深い日本人マダムの内助の功は絶大だった。

しかし2013年、順風満帆のドメーヌに突如悲劇が訪れる。収穫を前にブルゴーニュ一帯を襲った雹(ひょう)でぶどう畑が壊滅。収穫量が例年のたった2割という半世紀に一度の不作になった。そして懸命に畑の手当てをして迎えた収穫の初日、大黒柱の当主パトリックが交通事故にあい、意識不明の重体に陥るという最悪の事態に遭遇する。ビーズ千砂は悲嘆にくれる暇もなく、夫の代わりに畑に出て陣頭指揮を執り、数十人のスタッフを差配して1週間にわたる収穫をなんとか終えた。

世紀の不作年の収穫を終えて間もなく、夫パトリックが息を引き取った。そして、名門ドメーヌの浮沈が日本人マダムの双肩にのしかかる・・・ぶどう畑が連なる美しい丘陵を舞台に、ビーズ千砂とドメーヌの1年間にわたる闘いが始まった。突然、最愛の人を失った1人の女性が、どうやって生きる力を得ていくのか・・・その心の軌跡を、美しきブルゴーニュの四季の情景とともに描く。

語り:宮沢りえ
(内容59分)

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ブルゴーニュのぶどう生産農家に嫁いだ日本人女性の千砂さん。
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ブルゴーニュの秋。
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ぶどう畑が連なる丘陵。
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2013年、ブルゴーニュ一帯を襲った雹で壊滅の危機に陥った。
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夫の代わりに畑に出て陣頭指揮を執った千砂さん。
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名門ドメーヌ(醸造所を備えたぶどう生産農家)を背負って立つ千砂さん。