早坂暁ドラマ
花へんろ 特別編 「春子の人形」
昨年暮れ、88歳で急逝した脚本家、早坂暁の最後の作品。昭和の名作「花へんろ」の特別編。自らの体験をもとにした、兄と妹との心揺さぶる物語。早坂暁が、私たちに伝え残したかったこととは?
昭和初期の四国、松山。お遍路道に沿った商家の軒下に、人形と一緒に赤ン坊が置き去りにされていた。生活苦のお遍路さんらしい・・。この女の子は春子と名づけられ、少年・良介の3歳違いの妹として仲睦まじく育てられた。やがて戦争が始まり、16歳の良介(坂東龍汰)は、海軍兵学校に合格して瀬戸内の海を渡った。思案した母親・静子(田中裕子)は初めて春子に事実を告げた。「本当の兄妹ではない」と。兄にほのかな恋心を抱いていた春子(芦田愛菜)は無邪気に喜び、それを兄に伝えるために広島へ向かった。その翌日・・・原子爆弾が、上空で炸裂する。
終戦後、故郷に戻った少年は、信じるものもなく、妹を亡くした喪失感に苛まれる。やがて苦悩する少年は、海の見える丘で潮風に吹かれながら、遂に、ある決心をする・・・。
13歳で亡くなった妹のことを、早坂はずっと書くことができなかった。しかし、数年前から“これだけは未来のために書き残したい”と脚本に向き合い始めた。病と闘いながら執筆を続けたが、途中から冨川元文にバトンタッチ、冨川が原稿を書き終えた2日後、この世を去った。人間の本質と社会を鋭い洞察力で描きつづけた早坂暁のいわば「人生の原点」を鮮やかに示す、遺作ともいうべきドラマ。
主人公・良介役にオーディションで選ばれた坂東龍汰。田中裕子、芦田愛菜ら演技の確かな俳優たちが、現代の早坂暁ドラマの世界を、新たにオリジナルで作り上げる。
花へんろ 特別編 「春子の人形」
【放送予定】
2018年8月4日(土)BSプレミアム
よる9時から10時30分<90分単発>
【作】
早坂暁
【脚本】
冨川元文
【出演】
坂東龍汰 芦田愛菜 中西美帆 尾美としのり 田中裕子
【制作統括】
千葉聡史(NHK) 伴野智(東北新社)
【プロデューサー】
加藤邦英(プロジェクト暁)
【演出】
平山武之
【収録予定】
2018年3月下旬から4月下旬