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「コントレール~罪と恋~」大石静さん このタイミングだから言える話

「コントレール~罪と恋~」大石静さん
このタイミングだから言える話

「ひこうき雲(コントレール)」に導かれた恋――その人は、夫を殺した男(ひと)でした。


残酷な現実と許されない愛の行方を描く「コントレール~罪と恋~」に、大人たちがドハマリ中!
ドラマもいよいよクライマックス、今週の放送もお楽しみに...と言いたいところなのですが、次回は6月3日の放送となります。 お待たせしてしまうお詫びに、作者の大石静さんに「第6回と第7回の間だから言える、ここだけの話」をお伺いしてきました!

 


勝田夏子プロデューサー(以下、勝田P):
ドラマの放送が1週お休みということで、クライマックスへ向けてのおさらいの意味も込めて、ドラマの深~いところをお伺いしたいと思います!

大石静(以下、大石):
残り2回、いっそう盛り上がって観ていただきたいです!

勝田P:
とにかく、視聴者のみなさまからの反響が熱いんです。掲示板を見ていると「この年になって、こんなにときめくとは」「落ち着いて観られるドラマがあまりないけれど、今回はハマりました」といった、うれしいご意見を多数いただいています。あとは、男性のファンもかなり多いんですね。「妻と娘が寝てからこっそり見ている」いうご意見もありました!

大石:
『セカンドバージン』の時もそうでしたけど、若い方から年輩の方、男女を問わず「ドラマ、観てます」って声をかけていただいて・・・。女性だけに向けて書いているつもりはないので、こういう反応はホントにうれしいです。

勝田P:
中高年の男性が、これほどラブストーリーを求めているんだなって、ちょっと驚きました。石田ゆり子さんが「スタジオパークからこんにちは」に出られた時も、ギャラリーに中高年男性が多くてスタパの人がびっくりしてました(笑)。

大石:
みんな、胸キュンしたいんだと思います。現実にはなかなかできないから...(笑)。

勝田P:
いっぽう女性は、自分の経験と重ね合わせて観る方が多いようですね。
「夫と出逢った頃のときめきを思い出しました」なんてご意見もありました。

大石:
そう言っていただくと、書いた甲斐があったなぁと思います。
最初は文さんをどういう女性にしようか、勝田さんとあれこれ話し合いました。若手の男性スタッフ陣からは「こんなにガンガン押されるのはイヤだ。すごく引きます!」ってダメ出しされたりもしました。あれには困ったわ。それで大分押しを弱めたの(笑)。

勝田P:
たとえば第1回だと、瞭司を文の方からカレーを食べないかと誘うとか「明日、また来て」と書いて寄越すとか、最後のキスとかのシーンですね。このへんは男性陣だけでなく女性陣も、「早い!」「積極的!」と驚いた人が多かったみたいです。

大石:
でもね、瞭司やその下の世代の男の人って、あんまり自分からグイグイ行かないと思うのですよね。だから、女が待っていると話が進展しない。むしろ、欲しい男を女がググっと引きずり寄せるのが、 今の時代ではリアルなのではないかと思ったんです。 第2回は「また男性スタッフに、うっとうしいとか言われそうだな~」と思いながら書いていました。そうしたら案の定「僕たちあんなに言ったのに!」って怒られちゃって、途方に暮れました(笑)。

勝田P:
男性だけじゃなくて、実は私も始め、第1回の「あなたじゃない、私が欲しいのは」というモノローグの 「欲しい」という言葉がいきなりすぎるんじゃないかとご相談したことがありました。でもフタを開けてみると、あそこがあの回の白眉だったんですよね。

大石:
あれはみんなに否定されながら、 必死で守った台詞でした。「あなたじゃない、私が欲しいのは」は「私が必要としている人は、あなたじゃないの」でも、意味は通じます。だけど、それでは視聴者の胸に刺さらないと、みんなに一生懸命説明しました。
こういうギリギリの尖ったセリフや表現を丸くしてしまったら、ただの普通のラブストーリーになってしまう。引っかかるところがない、つる~んとした、雰囲気だけのラブストーリーじゃ、 これを書いた意味がないもの。

勝田P:
「文が子供の世話をしながら金曜のデートのことを考えてカレンダーを見ているシーンで、 自分の母親とか、周りの女性もこうなのだろうかと考えてしまった」という男性スタッフもいましたね。

大石:
作者としては、 まさに思うツボです(笑)。
作品のどこかに引っかかってくれて、何かを感じたり、自分ならどうだろうと考えたりしてくれたら、ホントにうれしい。

勝田P:
さっきのセリフもそうだし、母親だけど女、という描き方とか、リアルだけど反発も強く受けそうな表現がたくさんあるので、どう受け取られるか、ある意味賭けでしたね。けれど結局、 女性からは共感の声のほうが、だんぜん多かったですね。

大石:
せめてドラマの中で、思いっきり振り切った人生を感じていただかないと・・・。ラブストーリーは、そのために創っているとも言えるでしょ。

勝田P:
一人で5年(※妊娠中も入れると6年)も子どもを育ててきた文には、強い女性というイメージがありますが、その一方で、瞭司はどこか繊細というか、儚い感じがします。今時の押してこない男性、という典型例でしょうか(笑)。

大石:
瞭司のあの儚さは、井浦新さんの持ち味というか演技プランじゃないですか。でも、エリートゆえの弱さという面もありますよね。

勝田P:
第4回で瞭司が姿を消した時には「また逃げるのか」という声もありました。

大石:
瞭司はあの事件に遭遇するまで、人生で「負けたこと」がなかったと思うんです。お坊っちゃまで、頭が良くて、司法試験にもすぐ受かって、まさに勝ち組の人生。
それが、あの事件で一変してしまった。「あれは殺人じゃなくて事故や過失の類だから悩む必要はない」っていうご意見も多いですが、人を殺めてしまうって、決して忘れられる記憶ではないと思うんです。頸動脈を斬った時の感触は、生涯忘れられないものでしょう。エリートが抱え込んでしまったそんな記憶が、瞭司の儚さを作っているのだと思います。でも何度も言いますが、ほとんどが台本より井浦さん独特の表現ですよ。

勝田P:
なるほど。私個人としては、弁護士スタイルのキリッとした瞭司がカッコいいのではと思うのですが、トラック運転手の儚げな瞭司がいい、というご意見も多いですね。

大石:
私は断然、前髪降ろしてる方が好き! 

勝田P:
そんな文と瞭司の恋愛模様ですが、第5回の反響がすごく良くて、井浦新さんも「後からジワジワきます」とおっしゃっていました。

大石:
第5回は、瞭司が文に別れを告げて、最後に桜の下で再会する回ですね。要約すると、「別れた」それだけの話なんですけど。

勝田P:
たしかに、あらすじはひとことで終わってしまいますね(笑)。それを48分半かけてじっくりと見せているのが、面白いところです。手前味噌ですが、そういうドラマは最近珍しいと思います。

大石:
第2回だって、文と瞭司がメールしあって、今度会おうって言って、遂に会った。というだけ(笑)。でも、そのメールのやり取りのシーンが胸キュンでした。演出が上手です。

勝田P:
「嫌いにならないで」「ならないよ」のところとか、「キュンときます!」というお声をたくさん頂きました。

大石:
そう。その時、声が出た後「あっ」ってなる新さんの表情が、すごくカワイイの。自分が書いたことを忘れて、愛おしくなっちゃいました。

勝田P:
他にも、第3回、公園でデートした後、トラックの陰に隠れるようにキスしてはにかむシーンとか、車内で「赤いスイートピー」を歌うシーンとか、そういう瞬間の方が濡れ場よりもキュンキュンするというご意見がありました。
第5回で言うと、やっぱり桜の下で二人が再会するシーン。これは、反響が大きかったですね。

大石:
桜のシーン、すごくよかったです。あの時、瞭司はなんて言ってるの?

勝田P:
え? 大石さんが書いていらしたじゃないですか!

大石:
書いてない、書いてない。放送見て、いい演出だな~って思ったもん!(笑)!

勝田P:
台本に書いてありますってば。「瞭司の唇が、何か言う。たとえば『きれいだ』」。ほら!

大石:
ヤダ! ほんと、書いてある。台詞は忘れないので、一文字変えられてもわかるんですけど、これト書きだから忘れちゃったのかしら? 恥ずかしィ・・・。

勝田P:
正解は「きれいだ」です。発表しておきましょう(笑)
「あれはなんて言ってるんですか?」っていうお問い合わせがいっぱい来たんですよ。

大石:
このシーン、ホントにいいですよね。こういった積み重ねの先にラブシーンがないと、観ている方は感情移入ができないと思うんです。ラブシーンそのものより、ささやかな恋愛のプロセスこそが、大事なんです。私ってラブシーン書くのが大好きな脚本家みたいに思われてるようですけど、そういう単純なものでもないのですよ、この仕事。この際言っておきたいです(笑)

勝田P:
最近のドラマでは、そういう恋愛の過程をあまり描かなくなっていますよね。でも、視聴者はそこが観たいのだと「コントレール」で実感しました。

大石:
始まっていきなり濡れ場、というドラマもあったりしますが、それは見ている方が驚くだけで、胸キュンしないですよね。その点、今回の「コントレール」は、丁寧に心を積み重ねています。台本の細かい部分を拾い上げ、きめ細かく心を追いかける演出が、大人の鑑賞に堪えるドラマにしていると思います。
大人の鑑賞に堪えるというのは、必ずしも大人の恋を描いているからではないと思うんですよ。例えば高校生が主役の学園ものでも、心のひだを丁寧に描いていけば、かつて高校生だった大人たちにも感動していただけるドラマは出来ると、私は確信しています。そういうのもやりたいな。勝田プロデューサー、お願い。

★ご注意...このあたりから、少し先の話が入ります。次回予告で描いた範囲ですが、どうしても知りたくない方は第7回の放送後にご覧ください。

勝田P:
第6回の感想を観ていると、文が佐々岡を選んだことに対して、「あぁ、わかる」派と「ええーっ」派に分かれていますね。
「文さんは、女より母を選んだんですね」という書き込みもありました。

大石:
そうなんですよ。ドラマを書き始めた頃は、文と佐々岡が結婚する予定はなかったのです(笑)。

勝田P:
そうでしたね(笑)。

大石:
佐々岡を「いい奴」に描きたいという思いはありました。
愛し合っている2人の他にもう1人となると、その人はどうしても、悪役や邪魔者になってしまいます。でも、そういう構図にはしたくなくて。静かに文を愛する男にしようと。
ところが、文の子どもが佐々岡に懐きすぎちゃって(笑)。予定が狂ってしまい、私も迷いながら書きました。

勝田P:
佐々岡に対しては、「何だかうっとうしい」という人と、「いい人なのに可哀想」という人で評価が分かれていました。

大石:
男性陣は佐々岡派が多いんじゃない?

勝田P:
私は4回で文に「何を知ってるの?」と聞かれても自分の口からは言わないところとか、わざわざ神戸まで行って瞭司に「捨ててやってくれ」と言うところとか、かっこいいなあと思いました。
でも6回を観た方から、「文は佐々岡の野球を見る時間はないのに、瞭司とお茶する時間はあるんだ」という ツッコミ が多数入りまして(笑)。

大石:
当たり前じゃない! それにもし野球を見てたら瞭司とは会えなかったのよ(笑)。

勝田P:
そして文が佐々岡を選んだことに対しては、「あー、わかる」という声もあるものの、先行きを心配したり、残念がる声は多いようです。「ドラマとは思えない現実的な道を選びましたね」というご感想もありました(笑)。
男性ディレクター陣からは「文は怖い」という意見が再燃しました。

大石:
いろいろなご意見があるけれど、石田さんが演じているから、「何て女だ」という方にも、結局は愛されてると思います(笑)。

勝田P:
佐々岡に電話する前にビールを飲むシーン、ありましたよね。
局内で試写をした際に、男性陣から「ビールをあおって男を乗り換える女って怖い!」と、悲鳴のようなものがあがりました(笑)。
でも女性からすると、ああやって自分を奮い立たせないと、電話をする勇気が出ないというのが、よくわかるんですけどね。かなり意外な反応でした。

大石:
あのシーン、私もいいなって思いました。いい演出だなあ。
あれ、私はああいう風に書いてないでしょ?

勝田P:
いや、書いてありますよ(笑)。
ほら、「冷蔵庫から缶ビールを出し、グッと飲む」って。

大石:
あれ? ホントだ! また忘れてる! どうなってんのかしら私の頭(笑)。
でもあのシーンの狙いは、ちゃんと説明できるわよ。人の想いはそう簡単に変わらない。だけどあえて踏ん切りをつける、そういうシーンでした。
お手軽な恋愛も確かにあるけど、文の場合は、人生をかけて瞭司を愛してますから。だから、あのシーンはあれしかないと思います。
主題歌の歌詞にあるように 「天と地が入れ変わったとしても」と思えるほどの熱情を、文は第7回以降も抱いたままでいられるか。それが、ストーリーの鍵です。もっと言いたいけど、これ以上言えないのね(笑)

勝田P:
そうですね。文が最後にどういう選択をするのか、本当の結末まで、あと2回もありますから。

大石:
第7回は圭子がかなり大きく動きますので・・・。

勝田P:
圭子に関しては、「むかつく!」「許せない!」とかなりキビシイご意見が多くて。圭子も6年前の事件の被害者で、可哀想な人なんですけどね。

大石:
それだけ、桜庭ななみさんの演技がうまいってことですから。 一途に思いつめて、どうにもならない感じを上手に表現していると思います。これからもっともっと羽ばたいてもらいたい女優さんです。

勝田P:
文と圭子が対峙するシーンでは、「文さんの大人の対応がいい」というご意見の一方、「圭子の一途さがいい」というご意見もありました。

大石:
第6回の圭子の回想シーンを見ると、あの一途さがわかりますよね。だって、すごく幸せそうだったでしょ、敦と圭子。お似合いだったし、あそこまで思いつめるのも仕方ないなって。実際に映像にしてもらって、説得力が出たと思います。

勝田P:
おしゃれなイタリアンレストランで敦と圭子がデートしているシーンは、いざ映像になると何だか敦に対して無性にムカつきましたけども(笑)、演じる丸山智己さんとは"敦はただ優柔不断なだけで、どっちも好きだから選べなかったんでしょうね"という話をしていました。でも確かに圭子は幸せそうで、キラキラしていましたね。

大石:
そんな圭子が、残り2回の重要なキーパーソンになります!

勝田P:
そうです。次回放送では、圭子が文と瞭司を呼び出すんです。
あの、事件現場に...。
6年前のルーツに戻って、いよいよ、 直接対決が...。

大石:
第5回、6回が比較的おとなしい展開だったので、その反動というわけではありませんが、残り2回はかなり 波乱続きになります。

勝田P:
文と瞭司に 愛を貫いてほしいというご意見が本当に多いですが、文は今は佐々岡の妻であり、友樹のこともありますからね。最後の最後、文はどう考えて、どう決断するのか?そしてその時、周りはどうなるのか?

大石:
ん~、ネタバレしないように説明するのは難しい!(笑)
でも、2人のシーンはまだまだありますよ。だって文と瞭司のラブストーリーですから。だからつまり、 この先もいろいろあります。

勝田P:
クライマックスはこれからです!

大石:
「コントレール~罪と恋~」の結末は、私だけでなく、勝田さんも監督もスタッフもホントに悩みました。あらゆるパターンを考えに考えぬいてたどり着いた結末です。それを見届けるまで、ぜひ、お付き合いくださいね。

勝田P:
文、瞭司、佐々岡、そして圭子や英恵やタブや......それぞれの心がどこに落ち着くのか、ぜひ、皆さんもお楽しみになさってください!

大石:
でもねえ・・・あれしかないと思うんだけど、続編を作りたくなっちゃうエンディングなんです。

勝田P:
ええっ、そうなんですか!?(笑)

 


...というわけで、ギリギリのギリギリなところまで、番組の今後についてもお伺いしました。大石さん、ありがとうございました!
続編があるかどうかはわかりませんが、ドラマ10『コントレール~罪と恋~』は、毎週金曜日よる10時から放送中です。
(5月27日は休止)
残り2回。許されざる恋の行方を、どうぞお見逃しなく!

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