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ナルホド座談会「2030年 家族はどこに?」

~特集ドラマ『2030かなたの家族』特別企画~
ナルホド座談会「2030年 家族はどこに?」

26日(土)夜9時から放送の特集ドラマ『2030かなたの家族』。ある家族の15年後の新たな生き方を描きます。主人公のカケルを演じた瑛太さん、母・佳子を演じた小林聡美さん、祖母・さと子を演じた渡辺美佐子さんと、3世代の出演者の皆さんに「家族」の未来について語り合ってもらいました。

 


ナルホド(司会):
はじめまして、渡辺美佐子さん、小林聡美さん。それとも佳子さん、さと子さんとお呼びしたほうが宜しいでしょうか?私はドラマの中で、カケルさんとともに「家族」とは何なのか、その答えを探していくAI(人工知能)ロボット、ナルホドです。今日はこのドラマを演じて皆さんが家族についてお感じになったことをお伺いし、私の中の「家族」像を蓄積して行きたいと思いますので、宜しくお願いします。

渡辺美佐子(以下、渡辺):
あなた、相手の言葉を蓄積して成長していくんですって?。

ナルホド:
はい。瑛太さんの演じたカケルさんが、私をそのようにプログラムしたのです。

小林聡美(以下、小林):
最初から何でも出来ちゃうロボットより、そういうほうが親しみがわきますね。あまり優秀過ぎると息が詰まるというか。

瑛太:
でも、油断するとずけずけきついことを言って来るので注意してください。

ナルホド:
ハイハイ。それもカケルさんがそのようにプログラムしたのです。

「家族」を演じる

ナルホド:
ところで今回、皆さんはドラマの中で架空の家族を演じられたのですが、見ていると何だか本当の家族みたいに見えました。

渡辺:
聡美ちゃんはつまりうちのお嫁さんでしょ?でもぜんぜん抵抗なかったですよね。絆創膏を貼ってったりするのでもなんでも、娘のように安心して任せられる感じでした。孫の瑛太君は、なんでそんなに私の事を気に掛けて追いかけてくれたりしたのかしら(笑)。

小林:
おばあちゃん子でかわいがられてたんでしょうね。私がずっと忙しくしてて。

瑛太:
演じるっていうことでは、現場でお会いして、そこから演じるという行為がはじまる。家族団らんでテーブルにみんなで座ると、僕らは家族になるんですよね。疑似家族ではあるんですが、そういう気分になる。「家族です、じゃあどうぞ」って最初からすっと入れる感じ、この面白さは僕ら俳優にしか味わえないんじゃないかなって思います。

渡辺:
そういう意味では、俳優っていうのはイージーっていうか、いい気なものかもね。でも、すぐその気になっちゃうっていう、そういう所がないとダメよね。そういう所は解放しておかないと。

小林:
ナルホドには、残念だけどその面白さは味わえない(笑)。

ナルホド:
ナルホド。でも、もしかすると実際にも「家族」とは、それぞれの役割をきちんと演じることで成り立っているのではないですか?

瑛太:
その点、最後の花見のシーンが良かったですね。

渡辺:
ほっとしたわね。結局はそうあるべきよ、って感じがして。

瑛太:
話すことがないから自己紹介するとか、ひとつひとつのくだりに間がある感じも良いですね。

渡辺:
途切れなくおしゃべりできるわけじゃないけれど、平気で黙っていられるっていうのがやっぱり家族だと思うの。よその方だと、黙っていると悪いから無理して話さなくちゃいけないけれど、家族だといくら間があってもへっちゃらじゃない? 誰かがしゃべりだせばまたしゃべるし、一番自由でいられる、それが家族というものの良さだと思う。

小林:
まわりがハイテクになっても、人との関わり方は結局変わらない。未来もそういう風であって欲しいなと思います。

技術の進歩と人間の生き方

渡辺:
周りがどんどんハイテク化されると、逆に人との関わりが大事になって、もっと濃くなるってこともあるのかもしれない。ハイテクに囲まれているとそういうものが恋しくなっちゃう。あの、3Dプリンターですか?自動のレンジみたいなのから出てくるお菓子やお料理を食べていたら、やっぱり肉じゃがやきんぴらごぼうのような手料理が食べたくなるんじゃないかしら。15年くらいだったら、やっぱりそういうのってあると思うのよね。50年100年となると、もう人間ってものがまったく変わってきちゃってるのかもしれないし、想像がつかないけど。

瑛太:
カロリー計算まで完璧にされて、ああいった形ででてくる食事って、「それで長生きをするため」ってことですよね。医療のことに関しても、まず長生きをするってことが目的になっているという所が、すごく難しくなってくるのかなって気もします。

渡辺:
抵抗があったのは、老人の街でお年寄り自身が働くシーン。お金を持っているお年寄りのために、持っていないお年寄りが肉体労働をする、しかも同じユニフォームを着てね。確かに今でもお金を持っているお年寄りはいるし、働ける人は働くっていうのは、合理的は合理的なんでしょうけど、ザラッとした気持ちになりましたね。格差社会を一番はっきり形にしてしまう。そうじゃない社会って無いの、って。

ナルホド:
ナルホド。でも2030年から15年前のいまの世の中にも、既にそうした格差社会は内在しているのかも知れません。今はまだそこまで表面化はしていなくても。

小林:
そうなるとまた犯罪が増えそうですね。恨みとか、屈折した気持ちが出てきてしまって、荒みそう。

渡辺:
ドラマの中のうちのおじいちゃん(山本學さん演じる勝三)のように「(声真似して)働けるだけ働いてここにしがみついてやる!」なんて、割り切っちゃえばいいのかもしれないけれど、頑張れる人ばっかりではないんじゃないかな。

小林:
お金を払ってハイテク施設に入る人達が居るにしても、普通の暮らしをしている人達はどんな感じなんでしょうね?

渡辺:
変わらないで欲しいなあ。

ナルホド:
ナルホド。変わらない、という予測というより、変わらないで欲しい、という願望ですか?

渡辺:
そうね。だから最後のお花見のシーンで、遅れてきたお父さん(松重豊さん演じる透)が入ってきて全員集まる、あそこはすごくほっとしました。人間って、周りがいくら変わっても中身はそんなに変わらないんじゃないかなあと思うし、あんまり変わらないで欲しいなあと切実に思う。

ナルホド:
でも現実には変わっていっているのですね?

渡辺:
きっと、いろんな意味で変わりつつあるんでしょうね。だいたい、今、三世代がそろってお花見するなんてほとんどないわよね。おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に暮らすってことも、都市ではなかなかそういう生活ができなくなっちゃってるでしょ。

ナルホド:
みなさんは、三世代で暮らすという経験はあるのですか?

小林:
冬になると祖母がうちに泊まりにきて、冬の間一緒に過ごすというのはありましたね。祖父はもう亡くなっていたんで、祖母だけでしたが。

瑛太:
僕はおばあちゃんと一緒に暮らしていたこともありますよ。子どもは見ちゃいけない10時以降のドラマをおばあちゃんの部屋で一緒に見たり(笑)。

渡辺:
逆に私はそういう経験がないのよ。祖父母たちと一緒に暮らしたことはないんです。ただ想像するにお姑さんとお嫁さんは、やっぱり義理の間なのですごく遠慮があったり、ちょっと複雑じゃないですか。そういう複雑な人間関係や機微を小さいときからなんとなく見てるっていうのは、すごくいいことだと思うの。昔のように大勢で住んでいたら、こういうときはいたわらないといけないんだな、こういう意地悪はしちゃいけないんだな、っていうのを見てわかっている。そういう経験をいっぱいしていると、良い大人になるんじゃないかなって。だから、いまのように、夫婦だけとか、親ひとり子ひとりとか、一緒に暮らす家族が少なくなっちゃっていると、感情が豊かに育たないのかなって、そんなことを想像しました。

小林:
15年後ってそんなに先ではないけれど、家族が仲良く暮らして行ける、一緒に過ごすことができるっていうのは、いまよりもっと少なくなっているかも知れないし、既に現在でさえすごく贅沢なことかも知れません。血の繋がらない人達で集まって、家族のように過ごしている人もいっぱい出てくるでしょう。だから15年先の近未来で、家族が集まってお花見をするっていう事は非常に贅沢なことで、多分相当珍しい家族ってことになるんじゃないでしょうか。

血縁か、他生の縁か

ナルホド:
ナルホド。15年後の世界では、まさに血のつながりのない人たちが一緒に暮らすカケルさんのようなシェアハウスが増え、エミイさんの共同体みたいなところが出来て来ている設定です。

渡辺:
確かにシェアハウスのように何人かが集まって暮らすというのはどんどん盛んになってきているけれど、ぜんぜん知らない人と一緒に生活を共にするっていうことは、私にはちょっと想像がつかないの。シェアホームのような暮らしで新しい人間関係が生まれてきて、それはそれでまたいいかもしれないけど、家族の良さってのはやっぱりちょっと口では言いがたい、特別なものなんじゃないかしら。家族のためなら嫌なことも嫌だと思わずついやっちゃうとか、なんで家族ってそんな気にさせてくれるんだろうって不思議に思うんですよね。それって何なの?

小林:
本能?

渡辺:
一緒に過ごしていた時間がすごく大事で、だからつながっているのかな。たとえば、産んだお母さんと育てたお母さんが違う場合はどうなの、とか、いろんな事を考えると、家族ってなんでいつも一緒にいるんだろうって不思議な気がすることがあります。

瑛太:
僕は親になってから、親のありがたさを本当に実感しました。二十歳くらいになれば理屈ではわかったとしても、実感では僕はわからなかったですね。

渡辺:
逆に親のほうも子供に育てられる面もあるでしょう?やっぱり子どもがいると、自分の悪いところってそうそう出せない。子どもがいない時は自分が最優先で、自分のことばっかりだけど、子どもや家族があると、自分のことはさておいて子どもや家族を思いやる、自分のことじゃないことに気を使う。

瑛太:
そうですね。小さい子は特に自発的に着替えてご飯食べてってわけにはいかない。すべてが親の側の動きなんですよね。イライラすることもあるけど、それを自分でコントロールしていかないといけないし、子どもは子どもで自分の感情で動いているから、それもうまくコントロールしていかないと成り立たない。

渡辺:
そうやって子どもたちにいろいろやってあげるわけでしょ。それがいまだに不思議なの。血のつながりがあるからなんだろうかって、すごく不思議に思う。

小林:
でも自分と血がつながってない子どもでも、何かやってあげないといけないと思えばそうするんじゃないでしょうか、きっと。

渡辺:
そう。だとすると、血が繋がっていなくても育てていれば家族になるのかしらね。

小林:
自分がどういう風に育てられたかっていうのも、きっとすごく影響してきますよね。きちんと愛情を受けて育ってきたか、とか。

渡辺:
暴力ふるったりする子が、小さい時に暴力にあったりしていて、感情の表し方をそういうふうにしか知らないから他に表しようがないこともある。抱きしめられたことがないと、そういう風には返せない。だからやっぱり家庭って大事ですよね。

小林:
ドラマでは板倉家を解散しようってなったけれど、そんなに不安にならずに解散できたのは、それがあったからじゃないかなって思いますね。根っ子でちゃんとつながっているから。

ナルホド:
ナルホド。私もそうやって大事に育てていただければ立派に「家族」になれるということですね。

他人と暮らせますか

渡辺:
聡美ちゃんはシェアハウスみたいな暮らし方はどう?

小林:
ある意味、安心なんじゃないですか?

渡辺:
安心?

小林:
自分のプライベートな空間はちゃんと確保されつつ、ちょっと出ていけば同じ志を持つ人達、志っていうと大げさだけど、みんな同じように、快適に過ごそうと思って入ってきた人達がくつろいでいたりする。そういうぬくもりがある共同生活という感じ。

ナルホド:
ドラマの中では、佳子さんはまさに同年代の仕事仲間とシェアハウスしている設定です。

小林:
私たちの世代は、なんとなく、「そういうこともできそうだな」と思える世代なのかもしれないですね。

渡辺:
多分性格にもよりますよね。私なんかは絶対にダメだわ。

小林:
気を使っちゃいますか?

渡辺:
そうね、気を使っちゃう。疲れちゃう。

ナルホド:
瑛太さんはどうなのですか?

瑛太:
一度は経験しておきたかったと思いましたね。実際にシェアハウスで暮らしている方々に話を聞くと、誰かがご飯を作って分け合って、皆で味を批評しあったり、楽しそうなんですよ。

小林:
私たちより下の世代の人達の方が、もっとそういうことを抵抗なくできるんじゃないかな。たとえば、30代後半以降の人達って、子どもが居る人同士とか、趣味のような、自分が良いと思っている物を介してのつながりが強いし、そういうまとまりがいっぱいある感じがするんですけど。

瑛太:
そういう感じはしますね。たとえばゲームを介してネット上で知り合った人達が、「オフ会」で顔をあわせてみたり。

小林:
これからは、そういうのがたくさんあるような気がする。

渡辺:
逆に、家族なんて面倒くさいっていうことあるかもしれないわね。

小林:
隣人の距離が遠くなっていそうで、実は近い30~40代の人たちはそういう感じがするかな。

渡辺:
私にはちょっとついていけないかもね。でも、ナルホドとカケルちゃんふたりの会話はなかなか面白かったわ。あんなのがいたらちょっといいかもね、なんて。

ナルホド:
お褒めに預かり光栄です。いつでもお相手をさせていただきます。



ドラマ 2030かなたの家族
総合 9月26日(土) 夜9時から
作:井上由美子 音楽:井上鑑
出演:瑛太、蓮佛美沙子、小林聡美、松重豊、相武紗季、小日向文世、山本學、渡辺美佐子 ほか

ドラマ 2030かなたの家族 番組ホームページ


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