編集部イチオシ

「ロング・グッドバイ」撮影現場で写真家は見た!

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「ロング・グッドバイ」
撮影現場で写真家は見た!

4月19日からスタートする土曜ドラマ「ロング・グッドバイ」。
戦後すぐの東京を舞台にした、「男」の匂いあふれるハードボイルド・ミステリーです。
浅野忠信さん、綾野剛さん、小雪さん、古田新太さん、そして柄本明さんなど、豪華キャストの力演も相まって、力強く美しい映像世界が誕生しました。
今回の「編集部イチオシ!」は、スチルカメラマンとして「ロング・グッドバイ」の映像世界を切り取った、写真家であり、映画監督、ライター、俳優など、様々な顔を持つ長谷井宏紀さんに独占インタビューを敢行。写真家として感じたドラマの美しさ、撮影現場でのエピソードなど、長谷井さんにしか語れないあれこれをお伺いしまし た!




俳優、そして写真家として活躍する長谷井宏紀さん。
写真も、ご本人も…カッコイイです!

イチオシ編集部・アラサー女子部員 (以下、編集部):
「ロング・グッドバイ」の試写を見て、思わず「美しい…」と漏らしてしまいました。全てが力強くて、綺麗で、これは半端ない作品だなと感じたのですが、スチル撮影で現場に入られる前に、事前の心構えというか、「こういったところにこだわっていこう」という計画なんかはありましたか?

長谷井宏紀さん(以下、長谷井):
最初に堀切園監督とお会いして、ドラマの設定や企画意図について伺ったのですが、最終的に監督から「好きにやってください」と一任をいただきました。なので、本当に自由に撮らせてもらいましたね。
とはいえ、ドラマ自体の撮影が一番大事なので、邪魔にならないようにやろう、とは思っていましたよ(笑)

編集部:
撮るときにこだわりというか、これだけは外せない、というポイントはありましたか?

長谷井:
自分自身、こだわりは何もないんです。その場で「これ、良いな」って思ったものを撮っていきました。
とはいえ役者さんの集中を邪魔したくないので、ドラマ自体の撮影の様子をみながら撮っていたんですが、浅野さんがすごく協力してくれて、思っていたよりも沢山撮れていましたね。
シャッター音がマイクに入るといけないので、撮影自体は本番の前か後かになるんですが、浅野さんは僕のカメラに気づいてくれて、レンズを向けると磐二になってくれたり、違う雰囲気を提供してくれたりしましたね。
浅野さん、今作に相当気合いを入れていた気がします。浅野さんの現場には何度か入ったことがあるんですが、カメラやセットの準備中に、人の目も気にせずブツブツ言ってる姿は、僕ははじめて見ました。準備とか、そういうのをあまり見せない人なんですけどね。



~長谷井さん撮影のお写真から~

編集部:
浅野さんとは20年来のお付き合いだそうですね!

長谷井:
浅野さんって、役とか演技に対してのアプローチとかをあまり話さない人だと思うんですけど、僕との間では結構、役について話をしてくれることがあるんです。あとは、僕自身がフィリピンで映画を作ったりしているので、その現場の話とか。浅野さんとそういう時間を過ごせたので、楽しい現場でした。
でも、もっともっと現場に入って、もっともっと撮りたかったです。

編集部:
撮影されたのは、中盤からクランクアップまで?

長谷井:
クランクアップには立ち会えなかったんですけど、浅野さんが「ひと山」超えるところまではいましたね。
だから、かなり浅野さんは撮影したんですよ。近いうちに「ロング・グッドバイ」の写真集が出る予定なんですが、80ページもあるのに「あれも載せたかった、これも載せたかった。ページが足りない」という感じです。
あと、僕はよく旅に出るんですが、今回の撮影は旅行のような感じでしたね。スタッフさんは、一年、そして半年前から番組の仕込みをしているわけですが、僕は途中参加で、なおかつ番組本編の映像を作るという責任はない。だから、ある意味傍観者というか、僕だけ違う入り口から入ってくる感じ。これは旅と同じ感覚でしたね。

編集部:
旅先で、好奇心の赴くままに…そんな撮影だったんですね。

長谷井:
ドラマの現場って、本当に面白いですよね。舞台がどんどん変わるから「今日は、僕をどんなところに連れていってくれんだろう」みたいな感じで、本当に旅みたい。今日は磐二の事務所だったり、明日は街だったりバーだったり、色々なところに連れて行ってもらいましたね。美術の山口さんとか、舞台を作ったスタッフさんと話すのもすごく面白かったし、いろいろな出会いがありました。
あと、スチルの撮影にあたっては、これも旅みたいだと思うんですけど、心を開放的にもって挑みました。自分が心を閉ざしちゃうと、何も撮れなくなっちゃうから。アンテナを張るというか、常に心を開けとくようにしないと、いいものに反応できないので…。

編集部:
撮影されたお写真の中では、メディア王・原田平蔵を演じる柄本明さんのポートレートがすごく印象的でした。



~長谷井さん撮影のお写真から~

長谷井:
僕も好きな写真です。言葉が悪いかもしれないけど、狂気に満ちているような顔を撮りたくて。それが撮れたかなと思います。
実はこの写真、演技中じゃなくてオフショットなんです。次の演技について考え込んでおられたのか、ある意味純粋な表情が撮れていると思います。

編集部:
小雪さんのモノクロ写真も美しいですよね。これは、どうしてモノクロに?



~長谷井さん撮影のお写真から~

長谷井:
モノクロが似合うかな、と。
色々なアプローチする人がいると思うんですけど、写真って、最後は一枚の絵になるわけです。だから、余計なことを考えちゃうと、つまらないと思うんですね。自分がその場で感じた、面白いとか、美しいという感覚を、一番大事にしていけばいいかな、って。

編集部:
それから、雨の中での写真が印象的ですね。傘をさしてる浅野さんとか、車から足だけ出てる綾野さんとか。

長谷井:
ありがとうございます。この雨のシーンで、カメラが壊れちゃったんですけどね(笑)

編集部:
あ、やっぱり。

長谷井:
他のカメラマンさんは、遠くから望遠レンズを使って雨に当たらないようにしてたんですが、僕は濡れちゃうじゃんと思いながら、かまわず近づいて撮っていました。

編集部:
雨を気にせず撮った迫力、写真に出ていると思います。

長谷井:
そうかもしれないですね。それだけ写真に入っていたというか…。



~長谷井さん撮影のお写真から~

編集部:
雨の中で出会う、浅野さんと綾野さん。第1回の見どころですよね。
このお二人、現場ではどんな感じでしたか?

長谷井:
ドラマのように打ち解けあってる、って感じですね。大したことを話していないような気もするんだけど。バーで語り合うシーンみたいに。
あと、綾野さんは凄い俳優さんだなって思いましたね。ドラマの撮影って、何度も何度も同じ演技をしたり、同じテンションを作ることを要求されるわけじゃないですか。綾野さんは、このテンションをすごくキープされていて。



~長谷井さん撮影のお写真から~

編集部:
長谷井さんが撮影された写真の中に、オフショットというわけじゃないんですが、スタッフを撮ったものとか、スタッフが写り込んだものもありますよね。私、これが好きなんです。

長谷井:
役者さん、スタッフさん、色々な顔があるわけですけど、みんな見てるポイントが違うから面白いですよね。  
照明さんはライトについて考えてるし、カメラさんはカメラを見ているし、浅野さんは磐二について考えているし。それぞれがプロフェッショナルで、みんなこだわりがあって、それぞれ全力を出そうとしているわけで、面白い写真になりますよね。



~長谷井さん撮影のお写真から~

編集部:
セットの空気感が伝わってくる写真なんかも、すごく気に入っちゃいました。長谷井さんは個人的に、このセットが好きとかありますか?

長谷井:
やっぱり、磐二の事務所かな。生活感が伝わってくるし。
スパイ用に使う小さなカメラ、単なる鉄の棒のように見えるゼロ戦のパーツ。いろんなものがあるんですよ。
外のシーンもすごかったですね。売っているタバコの銘柄とか、本当に細かく作りこまれています。
見えないというか、画面に映らないようなところまで、本当に丁寧。ここまでこだわったら、作る方も、演じるもほうも楽しいだろうなって思います。

編集部:
長々とお話してしまいましたが、最後にスチルカメラマンの視点から、番組のみどころを教えていただければ!


 

長谷井:
カメラマンとして言うと、やっぱり自分の写真と、ドラマの本編、ふたつの映像があるわけですよね。
ここ、浅野さんはどう写っているのかな…とか、考えたりしちゃいますね。だから僕の写真と、実際の映像を見比べてもらっても、発見があって面白いと思います。
あと、僕は映画の演出をすることもあるのですが、その視点で言えば、舞台に立つのは役者さんだけど、舞台のムードっていうのも、作品にとってすごく大事なことなんですよね。
役者さんが思い描いてきた演技とか、テンションを活かせる舞台があると、良い作品になるんです。
その点、この「ロング・グッドバイ」は、監督さん、プロデューサーさん、スタッフさん、みんなが本当に頑張っていて、素晴らしい舞台ができていると思いました。

編集部:
ありがとうございました!

 

「ロンググッドバイ」の魅力、伝わってきましたでしょうか?
放送は4月19日、総合テレビで午後9時から。
見逃すと本当に後悔する。心から、そう言わせていただきます。
ハードボイルドな作品世界と美しい映像に、どっぷりハマってくださいね!

「ロング・グッドバイ」番組ホームページ


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