よるドラ 伝説のお母さん

よるドラ 伝説のお母さん

独自のバランス感覚で表現する世界観。髙山エリさんの衣装のヒミツ

毎週土曜よる11時30分放送のよるドラ「伝説のお母さん」。今回は、スタイリストの髙山エリさんに、規格外の子育てRPGワールドを支える衣装のヒミツを聞きました。

「伝説のお母さん」の衣装は、映像作品やファッション誌で活躍しているスタイリスト髙山エリさんが担当しています。今回、髙山さんが用意した衣装は、エキストラのみなさんの分を含めれば300ポーズ以上!!独自のスタイリング術を持つ髙山さんに迫ります。

気づいたら「やります」って答えてました

ーー 子育てRPGドラマという「伝説のお母さん」の構想を聞いた時の感想は?

髙山:
最初の打ち合わせから、村橋ディレクターの頭には、『ファンタジーだけどリアル』というドラマ全体を貫く、明確なコンセプトがありました。実は、この『ファンタジーだけどリアル』というコンセプトは、私がスタイリストを始めたときから持ち続けているテーマでもあるんです。

伝説のお母さん

魔王の衣装のベースは服飾学校の学生さんの作品。ウィッグも入れると総重量はなんと9.8キロ!

イチから衣装製作をすることも、世の中にあるお洋服を使ってスタイリングするのも、両方好き。自分にオファーが来たということは、モードも、リアルクローズも、舞台衣装も、スタイルも、ジャンルも…とにかく全部ミックスした世界観が「伝説のお母さん」には求められているんじゃないかと思ったんです。だから、メイと国王はイチから作ったのですが、この2人以外は、既製品や古着や学生さんの作品、家族や友人からもらったお洋服などを混ぜてスタイリングしています。

何ができるのかと考えながら、ビジョンは見えていなかったけれど、気づいたら「やります」って答えていました。

衣装作りは、自分の中のイメージを掘り起こす作業

ーー メイの衣装ができあがるまでに苦労は?

髙山:
どの作品でも、主人公の衣装はつまずきたくない!と自分にプレッシャーをかけます。今回も、前田敦子さん演じるメイの衣装から作り始めました。やっぱりセンターが決まらないと、周りのバランスが取れないから。

メイの衣装は、売っている気がしなかったので、「作ろう!」と決心して。原作の表紙のイメージが強かったので、あの色とシルエットを出したかった。早めにサンプルを作って、前田敦子さんとの顔合わせの時、「久しぶり!あつこさん、ちょっとこれ着て」ってお願いして、「こんな感じで作りますね~」「アポなしでこんなことして、すみません~」って。話をトントコ進めちゃいました(笑)

伝説のお母さん

こだわりの色とシルエット。メイの動きに合わせて揺れる感じもキュート

ピンク色もいろんなピンクがあるから、相当な数の生地を見たのですが、最終的にはピンと来た生地に出会えました。ピンクだけど甘すぎず、やわらかいけど、ちょっとハリ感とシャリ感があって。メイの立ち位置や性格を表現する生地だなぁって思って。余談ですが、Twitterで、「あんなに生地を使っていたら重そう~」というコメントをいただきましたが、実は見た目ほど重くなく、演技の邪魔にならない軽やかさも魅力でした。

伝説のお母さん

座ってもふんわり。細部まで衣装チームのこだわりが垣間見えます

メイの衣装が決まったら、他のキャラクターの衣装も次々にイメージが固まっていきました。不思議ですよね。始める前は悩みに悩むんだけど、いざ動き出すと、自分の中ではもう決まっている。いつもその作業の繰り返しなんですけど、「やっぱり、もうできてたんだ」って、後になってから気づきます。

ひとりで作るモノに興味はない

ーー 衣装作りで大切にしていることは?

髙山:
もちろん作品のキャラクターに合わせて衣装を考えるのですが、それと同じくらい、演じる俳優さん本人のキャラクターも大事にしたいと思っています。でないと、実際に着たときに衣装が浮いてしまう。キャラクターに寄せるばっかりはちょっと違うかな。

伝説のお母さん

カトウのコートはキャラクターを追求した結果、真っ黒ではなく、やさしい色合いに

たとえば、井之脇海さん演じるカトウの衣装選びは悩みました。今思えば、初めは井之脇さんという俳優さんがどんな方なのか、私の中で勉強が十分じゃなかったんです。原作のカトウはシュッとした、クールな二枚目なので“カッコよくしたい!”という気持ちが先行してしまっていた。でも、カトウのために最初に選んだ衣装を見た、靴を担当するスタッフさんに、「井之脇くんのいい感じのヌケ感が出なくなっちゃう」って言われて、ハッと目が覚めたんです。「うん、たしかにそうだ。これは井之脇さんが演じるカトウじゃないな」って納得して、今のスタイリングに進化しました。

衣装作りには、たくさんの人が関わっていて、一人では絶対作れないし、ときに自分のイメージを超えてくる。そこがすごく面白いところです。

伝説のお母さん

撮影現場で一番苦労したのは、国王の“袖さばき”!国王と従者のチームワークの賜物

例えば、国王の衣装はオリジナルですが、デザイン画をもとに実際に仕立てる作業は、私ではなく、とても信頼している衣装製作の方にお願いしています。正直、彼女に依頼する時点では、想像できていない部分があるんです。「国王の袖、コレ、どうやって作るんだろうな?」って。でも彼女は私が想像した以上のものを作ってきてくれる。「ありきたりじゃ嫌だ」「自分の想像を超えたい!」といつも思っているので、自分ひとりで想像していることにあんまり興味はなくて、人と作ることが好きなんです。

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撮影現場の髙山エリさん。持っているのはさっちゃんの抱っこ紐。

あと、今回はエキストラさんたちが本当に重要で!現代の一般的とされるスタイルの人は誰一人いないので準備は大変だったけど、エキストラさんたちの力で、世界観が成立しています。細かいところもちゃんと作り込んであるので、ぜひご注目ください。でも、人間だから穴はありますよ(笑)。あれ?っと気づかれる方もいらっしゃると思いますが、そこも楽しんでいただければ。

モードとリアルクローズどっちも欲しい

ーー 髙山さん独自のバランス感覚があるんですね

髙山:
もともとはファッション誌から仕事を始めました。今でもモードを追いかけています。あのときめきだったり興奮だったり、高揚感だったり、見ていて「きれいだな、素敵だな、かっこいいな」っていうのは、やっぱり一生忘れられない。だけど、日常はランウェイとは違う。普段過ごしている生活の中にある、「あ、これ、今度の作品っぽくない?」とか、町を歩いているお母さんの「あの着こなしかわいい!」とか、それもすごくファッションの本質だから、両方欲しい。欲張りだから、真ん中にいたいんです。今回も、メイと国王の衣装はイチから作ったけど、ベラやポコは原宿に、クウカイは高円寺に全部売っています(笑)。それこそ、ファンタジーなのにリアルですよ!

ーー 視聴者のみなさんに、メッセージを

髙山:
「子育てRPGドラマ」という初めてのテーマにお手本がなかったので、想像力やファッション史などの知識を総動員して作りました。ドラマを楽しんでいただくことはもちろんですが、ファッションがくれるワクワクやときめきを、身近に感じて楽しんでもらえたらと思っています。

髙山エリ

髙山エリ プロフィール
2007年からフリーのスタイリストとして、雑誌から映像作品まで幅広く活動。2015年にはNHK連続テレビ小説「まれ」の衣装スタイリングを担当。

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