よるドラ 伝説のお母さん

よるドラ 伝説のお母さん

【インタビュー】原作者かねもとさん「お母さんだって冒険したい!」

2020年2月1日(土)総合23:30放送開始のNHKよるドラ「伝説のお母さん」。
斬新な“RPG子育てストーリー”の生みの親、原作者かねもとさんに、作品にこめた思いを聞きました。
(聞き手・プロデューサー上田)

どうしてお母さんだけこんなに悩むんだろう→→→RPG育児マンガ爆誕!?

上田:
まず『伝説のお母さん』を描こうと思ったきっかけを教えてください。

かねもと:
私、もともとゲームとマンガが好きなんですけど、自分に子どもが生まれてからは、感じ方が前と変わっちゃったんです。たとえば、子どもが気の毒な目にあうシーンを直視できなくなったり…

伝説のお母さん

上田:
わかります。私も子育て中なんですが、感情移入の仕方が変わりますよね。

かねもと:
あるとき、ゲームをプレイしていて、ふと「子どもを持ったお母さんが主人公の作品ってあんまりないよな」と気づいてしまって。男性は子どもがいても『世界を救ってきて』と言われて旅に出たりするんですけど、お母さんが旅立ったり、戦ったりするゲームって見ないですよね。私はRPGとかファンタジーの世界が好きなので、そこにお母さんは入れないのかな…と思っちゃって。

上田:
それまで当たり前に受け止めていたことに、疑問を持たれたんですね。

かねもと:
そこで、魔王を倒した後に子どもを産んだキャラクターがいたとして、また戦いに行くことになったら彼女はどうするんだろう、って思ったんです。たぶん保育所は空いてないし、親にも預けようにも実家が遠いし。そうなると、ずっと旅に出るのは難しいだろうし!

上田:
いやー、身につまされる設定です…

伝説のお母さん

かねもと:
どうしてお母さんだけこんなに悩むんだろう、と考えた末に思いついたのが『魔王が復活したんだけど、保育所が空いてないんですよ!』というマンガなんです。

伝説のお母さん

上田:
『伝説のお母さん』はそうして生まれたんですね。
最初に発表されたのはTwitterですよね。

かねもと:
はい。はじめは最初の1ページ分だけだったんですけど、今の担当編集者さんに見つけていただいて。担当編集者さんも子供が生まれて仕事復帰されたばかりで、Twitterでマンガを描いているお母さんたちのタイムラインを見ていたそうなんです。そこから、もっと描き進めてみませんかということで、今のかたちになりました。

上田:
Twitterで発表された、たった1枚のマンガがプロの目にとまり、1冊の本になるまで描き続けられて、ついに実写化される。すごいですね…!

ワンオペは誰がやっても“無理ゲー” 性別は関係ない

上田:
主人公のお母さんの状況は、ご自身の子育て体験とリンクしているんですか?

かねもと:
それ、みんなから聞かれます(笑)
そうですね、上の子を産んだときはけっこうリンクしていましたね。寝かしつけに1時間2時間かかって、リビングに戻ったらお皿がそのまんま! 夫に対するフラストレーションをキャラクターにした面はあるんですけど、いまそこまでではないです(笑)

上田:
ということは…

かねもと:
はい、ちゃんと夫が仲間になりました!(笑)。

上田:
やった!!(笑)

そうしたご経験がもとになっているからか、かねもとさんの原作は、「共感」と「俯瞰」のバランスが絶妙ですよね。子育て中の誰もが「そうそう!そうなんだよ!」って思える共感に満ちていながら、一方で今の社会を俯瞰して見て「どうしてこんなことになってるんだろう、妙だよね?」って視点に気づかせてくれる。しかもそれをファンタジーの枠組みの中で展開することで、逆にすごくリアルに感じられる。新鮮で、驚きました。

かねもと:
やっぱりリアルとフィクションとのバランスは難しかったですね。リアルにしすぎると笑えないし、ギャグに振ると今度は伝わらなくなるし。

上田:
全編を通してすごく笑えるのに、「笑いのために人を傷つけたり、バカにしたりしない」という姿勢が貫かれているのも強く感じました。例えば、初めてのワンオペ家事育児でいっぱいいっぱいになる夫の姿を、ギャグとして描かれてはいなかったり。

かねもと:
そこは一瞬、笑いにしようかと悩んだんです。でも、女の私も、はじめはうまくできませんでしたから、男の家事がうまくないのは笑っていい、というのはちょっと違うかなと。家事も育児もはじめはうまく行かなくて当たり前だと思うんです。

上田:
そもそも、誰だってワンオペで家事育児まわすのは“無理ゲー”です。

かねもと:
あと、夫が家事で失敗するのを笑いにしちゃうと、いま実際に子供を抱えて家事がこなせずに悪戦苦闘しているお母さんが自分を責めちゃうと思って…。私自身も『こんなにできないなんて』『自分はだめな母親だ』と自分でプレッシャーをかけていたんですが、そもそも、人間はじめから完璧にできるわけじゃないですから。人に任せられるところは任せてもいいと思うんです。

上田:
「お母さん」なら全部自分でやらないと、と思いがちですが、少しずつ「役割」から自由になっていけるといいですよね。

「家事や育児と仕事、どちらが大変か」なんて比べられるものじゃない

上田:
『伝説のお母さん』がドラマ化されると聞いたときの率直な感想は…?

かねもと:
いやそりゃびっくりしましたよ。しかも実写って!(笑)

マンガの内容が待機児童とか、自分の時間と子育てとのバランスとかがテーマだったので、こういうのが時代に求められているのかなと思いました。ドラマにする価値を見出してくれたことがうれしいですね。でもこれファンタジーだよ、衣装とかセットとかは大丈夫なの、とは思いました(笑)

上田:
原作とドラマの違いはどう思われましたか?ドラマでは、夫であるモブ側の心情も描いていますが…

かねもと:
男性の意見もありますもんね。そこは原作に入れられなかった点なので、むしろドラマに入れてもらえたという感じですね。原作と違う部分に関しては、逆にストーリーを楽しませてもらっています。私は素材を出して、みなさんに調理してもらったと思っています。

上田:
男女の違いというわけではなく、立場や置かれている状況が違うと、見えている世界が違うということですよね。立場や属性に縛られず、自分の人生を生きていいんだ、というのが伝わればいいなと思っています。そのあたりをオリジナルストーリーで添えていきたいです。

かねもと:
「家事や育児と仕事、どちらが大変か」なんて比べられるものじゃない。生きていくためにはお金も大事だし、健康も大事。あと家がきれいなのも、ご飯が出てくるのも大事。いろんなものが大事で、どっちが大事ってことではない。そういう思いが伝わればうれしいです。

上田:
最後に読者のみなさんと、視聴者のみなさんにメッセージを!

かねもと:
ドラマになると、たくさんの人に原作を読んでもらえると思っていたんですけど、ドラマのほうが面白くなってるので、原作を読まれるとガッカリされるのではと心配しています(笑)

上田:
いやいやいや(笑)

かねもと:
私も初めて見る作品だと思えるくらい楽しみにしているので、ぜひみんなで一緒に見ましょう!

上田:
ありがとうございます。原作ファンの方にも、はじめての方にも、楽しんでいただけるよう頑張ります!

伝説のお母さん

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