いよいよ「中村仲蔵 出世階段」後編の放送が明日に迫りました。今回は、衣裳を担当したスタイリスト大塚満さんに、裏話を伺います。大塚さんは、今年お正月に放送された「ライジング若冲~天才かく覚醒せり~」でも衣裳を担当し、色彩、スタイル、材質などとても繊細なこだわりを随所に発揮してくださいました。今回は、脚本が固まったのが撮影開始のほぼ1か月前で、準備期間が短いうえ、出演者がとても多く、しかも江戸歌舞伎のシーンが山のようにある・・・という過酷な現場。撮影1か月で6キロも体重が減ったそうです。(←ごめんなさい。From 川崎P)限られた日数と予算のなか、日本の時代劇の歴史を担ってきた京都太秦の撮影所の膨大な衣裳蔵の助けを借り、絢爛な江戸歌舞伎世界の表と裏を表現してくださいました。
Q仲蔵の衣裳でこだわったことはどのようなことでしょうか?
歌舞伎が題材ということもあり、江戸の特徴である縞、格子柄で仲蔵が登り詰めていく様を表現できたら良いなと。
Q四代目團十郎、二代目傳九郎、吉川仁左衛門、金井三笑、(架空の役)任三郎など個性的な男性陣のキャラを衣裳ではどのように工夫して出そうとしましたか?
中にはとても有名な歴史上の人物もいるのですが、どんな人物かまではわかりませんでした。ならば演じられる役者さんに合う衣裳が良いのではないかと思い選ばせてもらいました。それが自然とキャラになっていくかなと考えました。金井三笑は源監督よりある有名な演出家さんをイメージして下さいと言われました。それが誰かも想像してみて下さい!
Q後編に出てくる石橋蓮司さん演じるコン太夫の衣裳はどのように発想しましたか?
石橋蓮司さんが狐の化身になったらと、メイクの山下みどりさんと相談しながら作っていきました。ホッとするシーンなので真面目でもあり面白くもありの衣裳が良いかなと思いこの様な形にしました。
Q江戸歌舞伎の再現が多々ありました。劇中劇衣裳でもっとも苦労したことは何でしょうか?どのような工夫をなさいましたか?
私自身はこれまで歌舞伎の衣裳を触ったことがありませんでしたので、写真や今自分達がふだん使っている衣裳から想像して衣裳を選びました。今回出演もしていて、歌舞伎指導もしていただいた中村いてうさんに何度も聞いてやっと形にすることが出来ました。工夫したことは、いろいろありますが、例えばイノシシの足の足袋を作ったことでしょうか、毛を足袋に一本ずつ描きました。
山賊役姿の仲蔵
劇中劇「長生殿常桜」
劇中劇「長生殿常桜」
劇中劇「蘭平物狂」
劇中劇「忠臣蔵」で演じる市川八百蔵
劇中劇「忠臣蔵」三段目松の間刃傷の場
クライマックスの「忠臣蔵」五段目
Qエンディングのダンスの衣裳はどのように発想しましたか?
勘九郎さんをかっこ良くしたいなと。白黒の映像に勘九郎さんのダンスの動きで陰影と反射が出れば面白いのではと思いあの様な衣裳にしました。
Q視聴者にここにぜひ注目してほしい、というポイントがありましたら是非教えてください。
源組(※注 源孝志監督のスタッフ一同のこと)みんなで作った東映京都撮影所の歌舞伎。衣裳も太秦の先輩たちから引き継がれた衣裳を使っています。現代の歌舞伎と少し違うなと思うところもあるかもしれませんが、その辺りも含めて楽しんで観てもらえたらと思います。
【放送予定】 <前・後編>2021年12月4日・11日(土)夜9:00~10:29 BSプレミアム・BS4K
【脚本・演出】源 孝志(「京都人の密かな愉しみ」「スローな武士にしてくれ」「ライジング若冲」)
【音 楽】阿部海太郎
【出 演】中村勘九郎/上白石萌音 中村七之助/谷原章介 若村麻由美 尾上松也/
髙嶋政宏/藤原竜也/大東駿介 山西惇 波岡一喜 本田博太郎/
名取裕子 笹野高史 石橋蓮司/吉田鋼太郎/段田安則/市村正親
【制作統括】宮坂佳代子(NHK)伊藤 純(NHKエンタープライズ)八巻薫(オッティモ)
【プロデューサー】川崎直子(NHKエンタープライズ)八木康夫(オッティモ)森井敦(東映京都撮影所)
投稿者:スタッフ | 投稿時間:12:30 | カテゴリ:忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段