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★こちらのページは2022年2月で更新を終了いたしました。

よるドラ『きれいのくに』脚本・加藤拓也のブログ Vol.9

こんにちは。加藤です。最終話の放送が終わりました。お付き合いただいた皆さま、ありがとうございました。

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箇条書きになりますが、
・オールアップの日、キャスト達が写真を撮る時に案の定、中山役の秋元君はカラーチャートを持たされていた。
・柚君と見上さんはオールアップの日、アップしたにも関わらず、最後の最後まで残ってくれていた。
・山脇君のアップの日、握手をしたら握手が必要以上に長いと言われた。
・岡本さんのアップの日、めちゃくちゃ硬いグミをプレゼントしたら、結構硬いと言っていた。
というエピソードがあります。

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時代と共に物語の持つ役割は変わっている/変わり続けていると思います。勿論僕の子供時代の時からも随分と変化したと感じています。言いたい事はSNSでも書けるしコラムでも書けるし、それが拡散された方が物語を見るよりもテーマを効率良く摂取する/してもらう事ができます。それらは核心まですぐに迫れるし、すぐに答えだって書いてくれるし言ってくれる、とても効率のいい発信方法ですが、僕はそんな中でも物語の必要性を見つけたいし、信じたいと思います。根拠は長くなるので省きますが、物語は発信も受信もとても非効率でアナログで、でも生活を俯瞰する上では最も重要な物なのではないかと思っているからです。分断とか差別とか愛とか言ってしまえるなら言ってしまいたいですが、でも言えないので、物語を見終わった後にどこかの何かに触れる物になるといいなとそんな気持ちで書き続けられたらいいなと思います。

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ドラマで脚本と監督を兼ねることはあまり多くないと思うのですが、今回は4話を撮るという単純な作業的な意味だけでなく、オーディション、そしてリハーサル、以降高校生編のお芝居を作るという点で参加をしていて、良くも悪くも4話以外にも口を出す事になり、通常監督じゃない立場の人が口を出すとやっぱり良い気分じゃないと思うのですが、しかし監督達はそういう企画だからと受け入れてくれました。というエピソードがあります。
ここから少しネタバレ的な文章になるので、あまり踏み込みたくない方はここで…!
お疲れ様でした。

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誠也だけは凜の顔が変わったことに気付いている状態でドラマは終わりを迎えました。
パパ活で襲われたのは自業自得なのか?、違っている事は悪い事じゃないのに、この世界では違っていると差別される事、周りに大丈夫と言ってもらえたらそれで大丈夫なのか?自分の意志で顔を変える事と意思とは関係なく変わっていく事、残っている負の遺産、性別に押し付けられた役割の事、意識しているつもりの無意識の事、まだ世界にはわからない事があって、わからない事を拒否してしまう事、人間の尺度でしかない事、「きれいのくに」チームと共に、時には物事に対する物差しを変え、それでもやっぱり自分そして人間の尺度でしか測れず、僕も色々な感情で全八回を終える事が出来ました。この期間、ドラマのことだけではなく、演劇と映画と、それから小説のことについて、つまり自分の活動範囲のことについて改めて見つめ直す事が出来ました。その結果は、まだ結果ではないので自分の中で持っておくものとします。

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これからどうやって生きて行こう。それでは。

 

◆加藤拓也(かとうたくや) 脚本家/演出家/監督
17歳の時、ラジオ・TVの構成作家を始める。18歳の時にイタリアへ渡り、映像演出と演劇について学び、日本に帰国後、「劇団た組。」を立ち上げ舞台演出を始める。
23歳で三越劇場作演出家の最年少記録を樹立。
2018年『平成物語』(フジテレビ)でドラマ初脚本。脚本を手がけた主な作品に、『部活、好きじゃなきゃダメですか?』『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ)など。


よるドラ「きれいのくに」

kireinokuni_hero.jpgのサムネイル画像

【放送予定】
総合 毎週月曜 よる10時45分から11時15分
放送から1週間、NHKプラスで見逃し配信!

【作】
加藤拓也
【音楽】
蓮沼執太
【出演】
吉田羊 蓮佛美沙子 平原テツ 小野花梨 橋本淳 加藤ローサ/  
青木柚 見上愛 岡本夏美 山脇辰哉 秋元龍太朗 /稲垣吾郎
【制作統括】
訓覇圭  
【プロデューサー】
小西千栄子 高橋優香子
【演出】
西村武五郎 鹿島悠 田中陽児 加藤拓也

投稿者:スタッフ | 投稿時間:23:15 | カテゴリ:きれいのくに

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