スタッフブログ

よるドラ「彼女が成仏できない理由」制作裏話

kanobutu_1020_01.JPGよるドラ「彼女が成仏できない理由」お楽しみいただけたでしょうか。
10/17(土)23:30~最終回が放送されました。

ドラマの完結に合わせて、(左から)チーフ演出:堀内裕介ディレクター、劇中マンガの監修:石川俊樹さん、小鳥遊玲の作画担当:植山紘さんと、エーミンの作画担当:大西晧貴さんによる、“制作裏話”をお届けします。
kanobutu_1020_02.jpg

― よるドラ「彼女が成仏できない理由」の企画について
[堀内]今回の企画は原作ものではなく、オリジナルドラマです。設定も全てイチから組み立てていきました。愛知県は全国で2番目に在留外国人が多い県なんです。そこで、留学生の主人公が日本へやってくることを描くにあたって、日本が世界に誇る「漫画」を題材にすることにしました。名古屋局制作ですから、“メイド・イン・愛知”を押し出したいと思い、劇中の舞台も名古屋にしましたし、愛知県で漫画を教えている学校などを取材させていただく中で石川先生に出会い、監修について相談をさせていただきました。

[石川]はじめ、お電話などでアドバイスすればよいのかと思っていましたら、助監督の方からものすごくたくさんの質問を受けまして(笑)電話やメール、お会いする頻度もだんだん多くなってきまして(笑)熱心さが伝わってきました。NHKさんが求める絵が描ける人もすぐ頭に浮かび、「監修」という立場を引き受けさせていただきました。
kanobutu_1020_03.JPG

[堀内]ドラマを作るにあたって、こちらはもちろん漫画の専門家ではありませんので、まず取材から始めるんです。漫画に関するさまざまなことを丁寧に教えていただきました。そして今年春に卒業を控えていた植山さんをご紹介いただきました。

― オファーを受けて
[植山]石川先生から「NHKドラマの劇中漫画を担当しないか」と光栄なお話をいただきました。大学を卒業して漫画家を目指すにあたって、漫画以外のクリエイティブな仕事や現場にも関心があったので、引き受けさせていただきました!ただ、一人でこなすのは難しかったため、同期に声をかけました。
kanobutu_1020_04.JPG

[大西]植山くんから「ドラマの劇中漫画やる?」と言われ、「やる!」と簡単に応えてしまったんですが、後から俳優さんの名前を聞いたりして(笑)すごいことに関わってしまったと思いつつ、今では受けてよかったと思っています。
kanobutu_1020_05.JPG

[植山]大西くんとは、学生時代から親しくしていて。絵柄が特徴的ですてきな作家と思っていたので、留学生エーミンの絵に合うのでは?と思って声をかけました。先生とも大西くんの絵は素晴らしいと話したりしていたので。

[大西]それ初めて聞きました(笑)今後は表だって言っていってほしいですね(笑)

― エーミンと小鳥遊玲の絵について
[石川]エーミンの絵のヘタさって奥深いんですよね。ヘタに描くのも難しいんです。漫画家を目指しているし徐々に成長するし、ヘタさのあんばいが絶妙だと思います。

[堀内]視聴者の皆さんに伝えておきたいのは、大西さんは本当はめちゃめちゃ絵が上手いということです!!(笑)あえて“ヘタウマ感”を出してほしい、と難しいことをお願いしました。
kanobutu_1020_06.JPG

[大西]ヘタに描きすぎてボツになったこともありましたね(笑)線を二重三重に描いてしまったり、顔と体のバランスが取れていなかったり、ヘタに見えてしまうあるあるを意識しました。
kanobutu_1020_07.JPG

[堀内]劇中では大量の漫画が登場するのですが、どういった絵が必要かイメージを伝えて、まずネーム(下書き)を作成していただきました。その上でコマ割やアングルなどの細かな修正を何度も打合せして、ペン入れ(作画)して完成、という流れです。

[植山]物語やキャラクターの大まかな設定はいただきましたが、漫画にするにあたっては細かな設定が重要なので、足りない部分を埋めていく作業が難しくてやりがいがありましたね。台本の台詞だけでコマ割りをするより、コマを足した方がよくなるといったこともあって、よりいい作品になるように議論を重ねました。
kanobutu_1020_08_2.jpgkanobutu_1020_09.JPG

[堀内]行間を読んでくださった植山さんのイマジネーションで、台本にはない台詞を足していただきました。また、「氷の武将」主人公・鎖奈は、未来の科学者という設定や髪の色や衣装のイメージを植山さんにお伝えして、具現化していただいたら、あんなに可愛らしいキャラクターができ上がりました。

[植山]一人の女性キャラをあぁでもない、こうでもないといいながら考えるのは楽しかったですね。男子の夢というか(笑)

― 印象的だったこと
[堀内]テレビ画面の中で、どうすれば漫画のコマ割りを効果的に見せられるか悩みました。キャラクターの顔をあえて大きく描くなど、手元で読む漫画とは少し異なった見せ方をオーダーしました。

[植山]急に追加で4枚お願いします!と言われたり(笑)いつまでに何ページと決まっている漫画の現場と違って、ドラマの現場では撮影していく中で急に発生することに対応しなければならないのだなと感じました。

[大西]高城れにさんの似顔絵を、エーミンのタッチでありながら高城さんだと分かるように描くことが難しかったです。きちんと似せたらエーミンのレベルを越えてしまうし、ヘタすぎると視聴者の方がすぐに高城さんだと認識できないし…何度もボツをくらってました(笑)
kanobutu_1020_10.JPG


― 俳優陣への漫画指導
[植山]森崎ウィンさんと高城れにさんに、道具の名称や説明、持ち方、描き方をレクチャーさせていただきました。漫画のペンは描く方向が決まっていたりと特殊なんです。お二人とも飲み込みが早くて、新しいことや発見を楽しんでいただけたようでした。

[堀内]実は、コロナウイルス感染拡大の影響で、撮影開始がズレ込んでしまったんですが、植山さんに準備いただいた練習用の下書きを森崎さんと高城さんにお渡しして、撮影開始までの期間、下書きをなぞって絵を描く練習をお願いしました。

[植山]ドラマではお二人がペンを持って描く演技をするシーンが多々ありますが、とても自然だったと思います!
kanobutu_1020_11.JPGkanobutu_1020_12.JPG

[堀内]お二人にお会いしてどうでしたか?

[植山]高城さんが近くにいて…!現実にいらっしゃるんだと認識しました(笑)気さくな方でした。

[大西]森崎さんがとても優しくて、僕を「先生!」って呼んでくださるので恐縮でした(汗)教えたら教えた以上にどんどん上達していくので、役者さんってすごいなと思いました。
kanobutu_1020_13.JPGkanobutu_1020_14.JPG

[堀内]植山さんと大西さんには手元のご出演もしていただきました。漫画を描いている手元のアップが必要で、俳優陣にはたくさん練習をしてもらったとはいえ、短期間で習得できるほど簡単なことではないので、そこはお二人にご出演をお願いしました。もちろん、森崎さん、高城さんに描いてもらったところもたくさんありますが。

[大西]撮影にはたくさんの人が関わって時間もかけていると分かっているので、失敗できないプレッシャーがすごくありました。貴重な経験でした。

[植山]カメラさんや助監督さんに囲まれて、じーっと見られて(笑)かつてないほどに緊張しました。その中で演技をしている役者さんのすごさを実感しました。
kanobutu_1020_15.JPG

― 撮影現場で
[植山]現場ではカメラが複数あって、それぞれのカメラが捉えている映像を写すモニターがあるので、アングルの狙いを感じたり、同じシーンを別角度から何度も撮影するので、漫画のコマ割の参考になるなと思いました。またこういった創作活動は、どこまで突き詰めて、どこでよしとするのかが難しいので、漫画家にも共通する部分だなと思いました。締切り前の慌ただしさのような(笑)

[堀内]シーンの中で何をどう撮るかは演出が決めていますが、現場でカメラマンからアイデアが出たりと、ライブ感のある中で撮影は進んでいきます。でも時間に限りはあるので、“どこまでこだわるか”はクリエイティブな仕事の醍醐味ですよね。

― 漫画のデジタル事情
[堀内]ドラマでは、エーミンと玲はアナログの作画、山田千春はデジタルで作画するという設定でした。お二人には両方に対応していただきました。

[大西]実は、正直デジタルで本格的に作画するのは初めてで、レイヤー別にパーツを描き上げていくころも初めてだったので、かなり時間を要してしまいました(汗)それまで、作画用のパソコンも持っていなかったので、この仕事を受けたことをきっかけに購入しました(笑)

[植山]今回、漫画部分はアナログで作画させていただき、ポスターなどはデジタルで描かせていただきました。普段は、人物などの主線などはアナログで、背景など無機物はデジタルを活用しています。
kanobutu_1020_16.JPG

[石川]昔は、アシスタントをするにも作家の先生の元に出勤して作画することが必須でしたが、現在では遠隔でデータを送ってもらい背景などの作業をして送り返すといった流れも一般的になっていますね。

― 漫画の動画化
[堀内]背景、人物、文字などをレイヤー別にデジタルで描き上げていただいたことで、それらをCGで別々に動かし立体感を出すという、デジタルならではの表現も駆使しました。

kanobutu_1020_17.JPG劇中漫画『氷の武将』紹介動画 → https://www.youtube.com/watch?v=AH_Hvv_wRM0

[石川]私は主にアナログな部分を教えているので、最近漫画の宣伝でもよく見かける動く漫画には関心がありました。漫画家ってアニメになったり、自分の絵が動くってうれしいことなんですよね。

[大西]もう、めちゃめちゃうれしかったです!

[植山]声優さんも豪華で!

[堀内]そうなんです。「氷の武将」の主人公・鎖奈の声は三石琴乃さんです。鎖奈のことも「可愛らしいキャラクターですね」と言っていましたよ。

[植山]マジですか!!!(熱)夢叶いました。ありがとうございます!光栄です。

― ドラマと漫画のエンターテインメントとしての違いについて
[堀内]漫画は読者それぞれが自分の心地よいペースで読み進めていくんですが、ドラマは制作側がどのカットをどれだけ長く見せるのかを決めています。今回漫画を映像で見せることになって、どのコマをどう見せるのかとても悩みました。CGでコマを動かすことで視線を誘導していく、といった手法にも初めて挑戦してみました。漫画のコマ割は漫画家さんが緻密に計算しているのだろうなとも感じました。

[石川]漫画家がストーリーを考えるときって、脳内は映像だったりしますね。それをコマに落とし込んでいくんです。だから映像には憧れますね。

[植山]色も音もあって、漫画ではできない表現、迫力のある表現ができる点が映像の魅力だと思います。漫画は白黒やコマ割といった限られた条件でいかに表現していくか試されていると思います。

― 最後に
[堀内]今回のドラマは「漫画」によってより豊かな世界観を表現できました。植山さん、大西さん、そして石川先生をはじめ、協力してくださった皆様にあらためて感謝したいと思います。
そして、よるドラ『彼女が成仏できない理由』をご覧くださった皆様、最後までどうもありがとうございました。
エーミンと玲、「漫画」という強い絆で結ばれた二人の行く末に、想像をめぐらせてくだされば嬉しいです。

kanobutu_1020_18.JPG

投稿者:スタッフ | 投稿時間:18:00 | カテゴリ:彼女が成仏できない理由

新着記事

新着ブログ

月別から選ぶ

2021年

開く

2020年

開く

2019年

開く

2018年

開く

2017年

開く

2016年

開く

2015年

開く

2014年

開く

放送終了番組

開く
ページトップへ