スタッフブログ

「列車コン」は、俳優にも取材を強いた? その2

「列車コン」は、俳優にも取材を強いた?

~笑顔で立ちあがる、大人の矜持はここから生まれた~

演出:一木正恵から

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<松坂慶子さんと喫茶店・屋台村>
常連さんがゆったりコーヒーを楽しむ喫茶店で、Mさんは待っていてくれた。
ご両親を亡くされ、息子さんと奥様が行方不明と聞く。「行方不明」にどう折り合いをつけて日常を送っていらっしゃるのか何としても知らねばと、松坂さんと一緒にお会いした。
Mさんは一切涙を見せない。それどころか終始笑顔で語りかけてくる。
「この町で生きてきたんだから。津波の日からいないということは、そういうことだよね」と笑いながら話すMさんの奥底にある慟哭と、それを微塵も見せない表面。
Mさんとの語りが、彩佳の写真を仏壇に置き、笑顔で語りかける母の姿のよすがとなった。松坂さんはMさんに身を傾けて「そう、そうでしたか」と優しく相槌を打っておられた。
掘りかえすような質問はしない。哀しい顔や涙もそぐわない。優しく微笑み、Mさんが話してくれるのを待ち、相槌を打つ。私は松坂さんが一緒にいてくれたことに心底感謝した。Mさんにとって大切な話を、私というスタッフだけではなく、松坂さんにしたということが、Mさんの日常の中でほんの少しでもキラっと輝く時であってくれたらと願う。
屋台村ではおでん屋のお母さんに一日ついて、仕込み、料理、接客を体験された。松坂さんがロケ中に作ってくれた「なべやぎ」(大船渡のお母さんが作るおやつ)は、極寒の中暖かくて甘くて・・・。あの味は絶対忘れません!
ちなみに松坂さん演じる晴子さんの店は、屋台村にある沖縄料理屋です。お世話になりました!

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<村上弘明さんと脚本打ち合わせ>
新幹線一ノ関から大船渡線で気仙沼に出る。かつて大船渡市盛駅まで延びていた鉄道は気仙沼で途切れ、BRTと呼ばれるバスで大船渡に向かう。
途中に「奇跡の一本松」がある陸前高田を通る。ピラミッド建設現場のような広大な茶色い大地が広がる風景は、同じ日本とはにわかに信じられない。ここが村上さんの故郷。
村上さんのような本当の地元の方に力を貸していただきたいとオファーさせていただいた。
村上さんのこのドラマへのこだわりは凄まじく、御自身の台詞のみならず、全出演者の言葉について「地元の人間ならばこう言いたいのではないか」「これは言わなくてもいいのでは?」とアドバイスしてくれた。
「こっちは大丈夫だから。心配しないでそっちも頑張れ。(テレビなどを)見てるから」。故郷に帰るたびに、東北の方々はこう言って笑顔を見せると。
でもみんなが「俺がやらなきゃ、生きてるんだから」と思いあって無理を重ねた、本当は泣きたいような笑顔かもしれないと語り合いました。村上さんに頂いたこの視点は、大切にドラマに込めたつもりです。
第3話に「海」を語る大切な台詞がある。それは村上さん以外の役者さんには絶対に言えない言葉だと思う。このシーンで故郷を見つめる村上さんは、役を演じてはいるが、村上弘明さんとして、全身全霊で故郷を愛したいと叫んでいるように見える。

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<塩見三省さんとラウンジで>
塩見さんとの出会いは大河「義経」。私はある演出回の放送後、塩見さんに呼び止められた。
「一木はよく、あの俺の間(ま)をそのまま使ってくれたよね」と。それはちょっと芝居では考えられない神がかった間合いだと現場で震えた、印象に残る場面だった。
「あれほんとはね、セリフ忘れちゃったんだよね。やばいやばいと思ってたら奇跡的に思いだして続けたんだけど」と。でもあの偶然の産物をとらえてくれて嬉しかったと。
演出をしていく上で重要なメッセージを頂いた時から、塩見三省は私にとって特別だった。
塩見さんが病に倒れていたことを、実は知らなかった。
だからプロデューサーと共にお会いする前は緊張した。しかし塩見さんが現れた瞬間、全ての不安が消えていった。確かに不自由な部分はお有りになるが、今までで最も輝く、凄みをました、クールな塩見三省さんだったから。
2時間を超えてたくさんの話をしたが、最後に言ってくれた言葉は忘れられない。
「一木、安心してよ。コメディ?ラブ?大丈夫だよ。一木は安心して全力でふざけたらいいよ。俺が、本物を見せるから」。
「倒れても助けるな。(カメラ)回してろ」。
そう言って文字通り命がけで挑まれた場面が、間もなく放送になります。
どうか、一緒に見届けてください。

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特集ドラマ「恋の三陸 列車コンで行こう!」

【放送予定】
2016年2月27日放送スタート [総合] 毎週土曜 よる10時(全3回)

【出演】
松下奈緒、安藤政信、小倉久寛、山崎静代、黒島結菜、浅香航大、玄理 、YOUNG DAIS、壇蜜、笛木優子、松岡茉優
塩見三省、村上弘明、松坂慶子 ほか
【作】清水有生
【音楽】瀬川英史
【演出】一木正恵
【制作統括】山本敏彦

「恋の三陸 列車コンで行こう!」ホームページはこちらから

投稿者:スタッフ | 投稿時間:17:00 | カテゴリ:恋の三陸 列車コンで行こう!

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