第3話はお白洲のシーンがないストーリーでした。
でも、ラストにお奉行が
善右衛門(神田正輝さん)に語りかける言葉、良いですよねっ。
さすが大岡様! といった感じでした。
第3シリーズで今まで放送された1~3話の脚本は大西信行さんです。
加藤剛さん主演の「大岡越前」シリーズからずっと脚本を手がけられていて、
作品に携わるスタッフ全員の中で、
当然ながら大岡越前というドラマを一番知り尽くした方であり、
仕事、人生、全てにおいて大先輩です。
スタッフはもとより出演者もみんな"大西先生"とお呼びしています。
津川雅彦さんは時々「シンコウさん」とお呼びしていました。
その大西先生が1月10日、永眠されました。
この写真は、第1シリーズのクランクアップに来ていただいたときのもの。
先生は執筆ペースが普段からとても速いのです。
今シリーズの脚本執筆にあたり、
これまでを上回るスピードで書かれていたので
「もう少しゆっくりでも…」とお話すると
先生は「時間がないんだよ」とおっしゃるのです。
すでに末期がんであると宣告を受けておられたそうですが、
心配をかけまいと誰にも告げず、
まさに命を削って脚本を書いてくださっていたのです。
今シリーズ撮影中に
レギュラー出演の皆さんでビデオレターをつくって
大西先生にお送りしたとき、本当に本当に喜ばれて励みにされていたのは、
つい先ごろのことです。
大西先生の原稿は手書きです。
旧字や崩し字も使われていて、慣れるまではひと苦労。
どうしても分からないときは先生に教えてもらいながら
台本の入稿準備をしていました。
遅い時間でも、電話をすると必ず読み方や意味を丁寧に教えてくださり、
最後は必ず「苦労を掛けるね、ありがとう」とおっしゃって下さいました。
津川さんがBSコンシェルジュにご出演されたときにもおっしゃっていましたが、
大西先生の書く脚本には説明っぽいセリフが本当に少ない。
それだけでなく、使われている言葉のひとつひとつにちゃんと意味があって、
江戸に関する膨大な知識の中からその言葉が正しく選ばれて、
物語の世界観が見事に表現されているのです。
大西先生の自筆原稿。丁寧に推敲されています。
そして筋立ての妙。
事件のあらましについて質問すると
「同心や岡っ引きたちが調べたんだと
想像が付くようなところばかり気にするんじゃない、
人の情けを大事に描くのが大岡越前だろう」と
怒りながらも教えてくださいました。
先生はお優しいんですが、怒ると本当に怖いんですよね…
先生の怒った顔と大声で笑った顔が交互に浮かんできます。
他にも、思い出というには早すぎることが多く、胸が詰まる思いです。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
第4話「将軍さま怒る」は2月5日(金)よる8時からBSプレミアムです。
どうぞご期待ください!
投稿者:スタッフ | 投稿時間:20:45 | カテゴリ:大岡越前3