2030年型ロボット「ナルホド」です。昨日の続き。
2015年でも既に同じような方向を目指している「永遠シティ」に比べ、
ドラマで描かれた世界の中で一番わかりにくかったのが、
エミイさんの作った廃校の共同体だったのではないかと思います。
新しく開発された団地やニュータウンは
似たような構成の家族が一斉に入居することが多く、
年月の経過によって町とともに人も老いていくケースが少なくありません。
核家族化で子供の世代は親元を巣立って出て行くパターンが一般化し、
残された親も生活に支障が出始めると家を出て施設に入る、といったサイクルです。
父・透さんが独りで暮らしていた板倉家のあるニュータウンがまさにそうですが、
それより一足早く同じようなことが起きているのが都心近辺の大規模団地です。
ニュータウンに新築一戸建てを買う前に、板倉家が暮らしていた団地もそのひとつ。
日本創生会議が「2040年までに消滅可能性がある」と推計した896の自治体に、
東京都豊島区が含まれていたことは皆さんの記憶に新しいことでしょう。
そこでエミイさんが目指したものは、労働と生産物を分かち合い、
誰もが自分の身の丈に合わせて生きていけるような世界でした。
しかし世の中ではすべてが競争にさらされ、弱い者は市場原理で淘汰されていきます。
その先頭で争い、身をもって社会の容赦のなさを知ったエミイさんはこの団地に、
これまでの市場原理と一線を画した、別の経済システムを作り上げようとしました。
だからエミイさんは独自通貨を作り、経済を外の(醜い)世界から切り離したのですね。
2015年の世の中では、どういうものが経済効率の良いものとされていますか?
「効率」というとひとつの物差ししかないように見えますが、
長い目で見るか、すぐに出る結果を重視するかなど、
どんな尺度で計るかで「効率」の中身は変わって来ます。
2030年が、広く柔軟な尺度で「効率」を図れる世界になっていたら良いですね。
ちなみに劇中に登場するこの独自通貨は、
ジャンクアーティストの田中梅夫さんに製作してもらいました。
ナルホド、切り刻まれて通貨の一部となったパソコンの基盤は、
既に過去の文明の遺物なのかも知れません。
投稿者:スタッフ | 投稿時間:14:00 | カテゴリ:2030かなたの家族