物語のクライマックスになる立山黒部アルペンルートを最初に訪れたのは、
ルートが解禁された直後の4月下旬。
脚本の喜安浩平さんと山小屋などがある室堂平にたどりつくと、
そこは5メートル先も見えない吹雪で、有名な“雪の大谷”も封鎖されていました。
「こっちに池があるはずで……」と空しいイメージトレーニングをしながら
散策道をそれでも2時間以上歩き、
途中山小屋を捜している軽装の中国人旅行客に道を聞かれたり……。
だから、秋のロケの際にはスタッフにも役者さんにも
「言っとくけど、私に天気運はないから」とあらかじめ予防線を張ってました。
ところが、室堂平にたどりついたら、
一面に広がる雲海の上に夕陽が輝く神々しいような風景が待ってました。
主人公灰島が携帯で奥さんと話す大切なシーンを、
まるで山の神さまが祝福しているかのようでした。
そして翌々日、一度はあきらめていた
立山連峰からの日の出までも撮ることができたのは、まさに奇跡でした。
灰島の息子、樹の
「パパ、空が青くて白くて赤い!」というセリフそのままに。
立山は積雪が早いので、緑と紅葉がまだらに広がる
不思議なパノラマを味わえる期間はごくわずかです。
山の神さまに守られたその景色の中で主人公灰島が再起していく姿は、
きっとドラマを見るみなさんにすがすがしい気分を届けてくれるでしょう。
お楽しみに。
演出 笠浦友愛
【放送予定】 2014年12月25日(木) 総合 22時~23時13分(73分)
【原 作】 北村森「途中下車」
【脚 本】 喜安浩平
【音 楽】 かみむら周平
【出 演】 北村一輝 原田知世 松田知己 六角精児 木内みどり 野際陽子ほか
投稿者:スタッフ | 投稿時間:09:00 | カテゴリ:途中下車