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『精霊の守り人 最終章』脚本家・大森寿美男さんインタビュー 〜イメージが動き出す瞬間まで〜Vol.5

seirei_omori_180124-5.jpg5回にわたりお届けしてきた大森さんのインタビューも最終回です。今回は、大森さんの日頃の仕事の進め方と、『精霊の守り人』で気をつけていたことなどをお聞きしました。脚本を書き終えたあとも、脚本家さんならではの苦悩があるようで…!?


■プロットは書かない。
僕は脚本を書くとき、プロット(=脚本を執筆する前に作成する物語の要約、企画書)はつくりません。プロットつくるとそれに縛られて、結局そこに持っていこう、持っていこうとしてしまうんです。そうすると、道を誤っちゃうんですよね。「せっかくプロット書いたんだから」って、先入観になっちゃうわけです。本当は、この人物はこっちに行きたがってるのに、「こっちに行くって決めたから」って。そういう失敗を若い頃に何度かしたので、いわゆるプロットはきちんとは書かなくなって、メモ程度のものにしています。特に、『精霊の守り人』のように原作がきっちりあるものは、大体の流れは原作の中で見えてくるので、あまり1回1回の話は決めすぎず、「次はどうなるんだろう」って自分でも思いながら書いた方がいいんですよ。先に人物を掘り下げても、ストーリーを語る楽しみは後にとっておくことです。

不思議なことに、今回のように原作があろうと、オリジナルだろうと、書くときにほとんど違いはありません。やっぱりどちらもその人物のことを知りたくて書いてるってところがあるので、その人物の声に耳を傾けるだけなんですよね。そして、その人物が勝手に動き出すっていう瞬間を迎えるまでが、僕らの勝負だと思います。

■手順を踏んで盛り上げていく。
ただ今回(精霊の守り人)は、これだけの原作があるので、展開によって「ノリで変えていく」という部分は少なかったかもしれないですね。しちゃいけない感じでした。全体として大きな流れがあって、詰めなきゃいけない情報もいっぱいあったので、「ここは入りませんでした」では済まされない。しくじらないように細心の注意を払っておかないといけませんよね。例えば、シーズン1の別れのシーンは、「チャグムが海に飛び込む時に、バルサの言葉を思い出す」っていうことは想定して書きました。そういうことをしていかないと、こういう長い話は後々「あっ、しまった」ってことになっちゃうんですよ。「チャグムの人生を決めた一言が見当たらない」とか「チャグムとバルサは会わせられませんでした」じゃあ、困っちゃうんです(笑)。だからそこはずっと冷静に、決めた通りの情報量は毎回入れながら進めました。それでもまぁ、なんとなくですけどね。「ここでこういうこと言っておくと、後々あそこで使えるかもしれないな」みたいなこともあります。

■書き終えても、放送されるまで不安。
脚本の仕事は、書き終わったときに一段落したと感じますが、放送されるまでは不安は解消されません(笑)。それこそ祈るような気持ちで、不安を抱えながらずっと過ごしているわけです。放送前に完パケ(=「完全パッケージ」の略。編集作業が終わり、放送できる状態になっている映像のこと)を見るときが一番恐ろしいです。最終章はこれから見ますが、これだけは何回やっても慣れませんね。毎回、大ダメージを受けながら見ています。で、1回目は必ず自分の仕事に落ち込みます。「あぁ、失敗した…」って思っちゃうんですよ。素直に入ってこないというか、役者がみんな言いにくそうにセリフをしゃべっているように見えたり、「あ、そこのセリフカットされた…」と考えたりしてしまう。でも、2回見ると錯覚だったとわかって、カットされたのも忘れて「あっ、おもしろいじゃん」と思えるので、2回目の感覚を信じるようにしています(笑)。

 


★大河ファンタジー「精霊の守り人 最終章」

2018年1月27日(土)よる9時 ついに完結!
NHK総合テレビ 毎週土曜 (連続9回)
「精霊の守り人」番組公式ホームページ→http://nhk.jp/moribito

最終回「旅立ち」
バルサ(綾瀬はるか)と捕らわれの身であるタンダは、魂をトロガイの元に飛ばし、ナユグに春がきたことを伝え、光の鳥を飛ばし人びとに早く逃げるよう警告することを提案。そのさなか、タルシュ帝国が滅びる。やがて一気に濁流が押し寄せ、川の水が増水。大勢の人たちが逃げまどう。そして、物語はクライマックスに。新ヨゴ国の都は消えてなくなるのか?再び離ればなれになったバルサとタンダは再会できるのだろうか...。

投稿者:スタッフ | 投稿時間:12:30 | カテゴリ:精霊の守り人

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