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特集オーディオドラマ『鐘を鳴らす子供たち』 原作者の古内一絵さん・脚本家の池谷雅夫さんからメッセージをいただきました!

演出の吉田です。

昭和から令和へ……激動するこの時代、〝76年目の平和″について考えてみたい。

その思いで今回、特集オーディオドラマ『鐘を鳴らす子供たち』を作りました。

 

放送に寄せて、原作者の古内一絵さん、脚本家の池谷雅夫さんからメッセージをいただきました! まず古内一絵さんのメッセージから。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

皆さん、こんにちは。

「鐘を鳴らす子供たち」を書きました、小説家の古内一絵です。

この作品の構想は、八十代になる両親の子供時代の記憶を書き留めておきたいという気持ちから始まりました。

太平洋戦争で日本が敗戦したとき、両親はまだ小学生でした。

父は東北の生まれ、母は東京の生まれです。東北の農村と東京の町工場という、まったく異なる環境に育った二人に共通しているのは、戦中は生粋の軍国少年少女だったこと、敗戦後に訳も分からず教科書に墨を塗らされたこと、それから、NHKの連続ラジオ放送劇「鐘の鳴る丘」を夢中になって聞いていたことでした。

そこで、当時、日本中の子供たちが夢中になっていた「鐘の鳴る丘」をモチーフに、戦中戦後を生きた子供たちを描こうと決めました。

「鐘の鳴る丘」について調べてみると、とても面白いことが分かってきました。

当時は今のように、「子役」がいなかったため、「鐘の鳴る丘」には、普通の小学生たちが出演していたのです。

だからこそ、彼らの演技が、父や母たちのような同年代の子供たちを、あんなにも惹きつけたのかもしれません。

少年時代、私の父の夢は予科練に入り、特攻隊員になることでした。「国のために戦って死ね」と軍国教育を受けた世代だったからです。母もまた、「お国や兵隊さんの役に立ちたい」と考えていたそうです。

「鐘の鳴る丘」を作った大人たちは、戦争中は軍国主義を啓蒙する芝居や音楽を作っていた人たちでした。

敗戦の二年後から放送が始まった「鐘の鳴る丘」は、大人たちが始めた戦争に翻弄された子供たちと、自分たちが引き起こした戦争に傷ついた大人たちが、力を合わせて作り上げた物語だったのです。

〽緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台

 鐘が鳴りますキンコンカン……

高らかな鐘の音とともに始まる名曲「とんがり帽子」に代表されるこの放送劇は、当時の人たちの明日への祈りのように思えてなりません。

この作品を執筆するに当たり、映画版「鐘の鳴る丘」で隆太役を演じられた野坂賴明さん、NHK児童劇団で子役として活躍されていた今井裕さんからお話を聞けたことも、大きな収穫でした。野坂さんからは、劇作家菊田一夫さんからの温かなお手紙なども見せていただき、子供たちへの指導ぶりや、お人柄をしのぶことができました。また、現在はサウンドデザイナーとして活躍されている今井さんからは、ラジオ放送劇の音響効果について詳しくお話を伺うことができました。この場をお借りして、心より御礼を申し上げます。

この度、素晴らしいスタッフとキャストの皆さんによって、「鐘を鳴らす子供たち」がラジオドラマ化されることを、心より嬉しく思っております。

敗戦という混乱期を生きた、子供たちの大きな戸惑いや、大人たちの苦い悔恨は、コロナ禍生きる私たちの胸にも響くものがあるように思えます。

コロナ禍のオリンピック中ではありますが、暫し、戦後を懸命に生きた人々の声に耳を傾けていただければ幸いに存じます。

                                                                                                                                  古内一絵

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そして脚本家の池谷雅夫さんからのメッセージです。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

76年前の8月に終わった戦争。

その30年後に生まれた僕は、現在の日本の“平和”のルーツとなる戦後と向き合った小説『鐘を鳴らす子供たち』の脚本を書かせてもらいました。

 

戦後まもなくNHKで放送された国民的連続ラジオドラマ『鐘の鳴る丘』。

戦争で家を焼かれ家族を亡くし帰るところを失った“戦災孤児”達が、運命的な出会いから人の優しさを知り、生きるためにやらざるを得なかった非行から改心し更生していく物語。

 

戦災孤児達を演じたのは大人ではなく子供。

『鐘を鳴らす子供たち』は当時の子供達による奮闘劇の舞台裏を、笑って泣けるヒューマンドラマが優しく包み込んでいます。

 

これだけ読んでいると、

『鐘の鳴る丘』って戦後に“平和”の希望を灯してくれたラジオドラマだと思いますよね?

当時は放送時間の夕方になると、街から子供の姿が消えたと逸話が残っていたり、他の番組も含めてラジオなしに戦後の復興は成し遂げられなかったといっても過言じゃないと思います。

 

しかし実は……当時の放送はGHQの主導で番組編成や番組立案が進められ、民間情報教育局(略称CIE)の検閲が入り、「腹切り」「敵討ち」なんて日本語の使用は使用禁止、『忠臣蔵』も日本人の戦意高揚を煽ると放送NGという状況下にあったのです。

そしてGHQにとって、たとえそれが真実であっても、不都合な文言は放送してはいけない。

――そんな状況下で放送されていた『鐘の鳴る丘』。

果たしてそこに、どのような“平和”の本質があったのか? 

そんな思いを胸に、自分に問うように、考えて考えて考えて脚本を書きました。

 

昨年から続くコロナ禍で日本人もこれまでの価値観が一変した。

戦時に近い状態で不自由の生活を強いられ、メディア・ネットの情報が氾濫している。

そんな中、今まで当たり前だったことの裏側、「あれ? 日本ってこんな国だったっけ?」みたいな不可解な事が僕達の目にも留まるようになってきた。

 

何が真で何が嘘なのか――?

これからの子供達は自分で考えていくことが大事だと思う。

スマホ片手に見たくないものに目を背けないで、表も裏も受け止めて、与えられた“平和”に胡坐をかくのではなく、あるべき“平和”に向かい、考えて考えて考えて、百年先の“平和”を考えてもらいたい。

この作品を聴いて、大人も子供も、一瞬でも、何かを考えるきっかけになってくれたら幸いです。

                                                                                                                      池谷雅夫

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

古内さん、池谷さん、ありがとうございました。

素晴らしい台本を生き生きと演じてくれたのは令和の少年少女たちです。ベテラン俳優陣と一緒に、〝平和″とは何かを真剣に考え、演じてくれました。

そして、作曲家・堀口純香さんの音楽が番組に彩りを加えてくれています。敗戦で始まった〝新しい時代″とは何だったのか? 悲しみ、喜び、悩み傷つき、そして立ち上がっていく! 登場人物たちの思いにのせて、音楽は繰り広げられます。

前編・後編、120分のオーディオドラマ、この夏、耳を傾けてみませんか? 

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特集オーディオドラマ『鐘を鳴らす子供たち』

【放送】NHK-FM 8月14日(土)・21日(土)

よる10時~11時(全2回)

【原作】古内一絵 【脚色】池谷雅夫

【音楽】堀口純香

【出演】

山崎智史 柴崎楓雅 田代輝 齋藤さくら

野口かおる 児島功一 古河耕史 中村真知子

りきまる 丸山澪 横山芽生 寺嶋慎太朗

辻晴仁 櫻井瑶 齋藤優聖 河井樹 平松來馬

川村瑠泉 三本采香 田中悠愛 安生悠璃菜

中太佑 共田すず ブレイク・クロフォード

朝倉伸二 陰山泰 NHK東京児童合唱団

 

【制作統括】藤井靖 【デスク】木村明広

【技術】山賀勉 山田顕隆

【音響効果】野村知成

【フォーリーアーティスト】清水裕樹

【音楽録音】蓮江哲也 佐々木志了

【時代考証】大森洋平 【演出】吉田浩樹

投稿者:スタッフ | 投稿時間:13:55 | カテゴリ:オーディオドラマ

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