2020年10月17日(土) よる10時~10時50分 FM
NHKネットラジオ「らじる☆らじる」での同時配信、「聞き逃し」サービスの配信(放送終了後から1週間)でもお聞きいただけます。
演出の小見山です。シナリオライターの三國さんに初めてオーディオドラマを書いていただきました。三國さんの脚本による、土曜ドラマ『母、帰る~AIの遺言~』は、とても心に残る素敵なドラマでした。是非、FMシアターを書いてもらいたいと思っていました。
テーマは家族です。家族って何だろう? 永遠の課題かもしれません。
父と息子、そして、それぞれの息子たちの友情。展開は、ファンタスティックですが、極めて現代的な問いかけをしてくれていると思います。
誰かを、もしくは何かを待っている人というのはとても無防備だと感じます。
相手が来るかわからない、いわば未知の事態をありのまま受け止めるために心をぱっかりと開いた状態なのですから。
そしてその状態を保つ(待ち続ける)ことは、非常な努力が必要ではないでしょうか。惰性で続けられることではないと思います。
この物語には船を待つ男が登場します。かつて犯した大きな罪を抱えた男は心の源泉にたどり着き、自分が何を待ち続けたのかを知ります。
それが何だったのかは……ぜひ、ドラマをお聴きになってください。
私にとって初めてのオーディオドラマとなりました『船を待つ』。
出演、音楽はこれ以上ない贅沢な布陣です。今回のお芝居と音楽には私自身ひとりのリスナーとなって心を震わせました。
そして、私のアイディアが形になるまで“待ち続けて”くださった演出家の小見山さん。ご尽力に特筆の感謝を申し上げます。ありがとうございました。
本作品に込めたメッセージがみなさんの心に届いたなら、これほど嬉しいことはありません。
(三國月々子)
FMシアター『船を待つ』
【出演者】橋爪功 渡辺いっけい 高橋理恵子 花戸祐介 佐藤 室伏祐哉
【作】三國月々子 【音楽】小六禮次郎
【あらすじ】
懐かしい思い出がある。そして、取り返しのつかない過去もある。
人は過去を捨て去りたいと思い、一方、その懐かしさに生きている喜びを見つける。
これは過去への痛切な哀愁を胸に再生を誓う物語。
老人(橋爪功)が一人浜辺にいる。「随分と長いこと歩いた気がする……ここはどこだろう? 私は死んだのか。船に乗ってあの世へ行くのだろう」と呟く。
海が見えた。しかし、船などどこにもない。一人の青年(渡辺いっけい)が海に打ち上げられた花弁を拾っている。
青年は「船ですか…あの上からなら、見つかるかもしれません」と切立つ崖を指した。
崖を目指す老人と青年。途中で誰かの葬式とすれ違う。崖から落ちて死んだ少年の葬式だという。老人と青年の関係が次第に明らかになっていく…。
投稿者:スタッフ | 投稿時間:10:00 | カテゴリ:オーディオドラマ