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制作スタッフによる現場日誌

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「言いたいことがあります。」の制作現場

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前回、前々回は、どちらかというと企画の根っこみたいな話を書きましたので、今回は生々しい(笑)制作の裏側を書いてみたいと思います。

「言いたいことがあります。」は、全4話分を一気に撮影します。1話あたりの尺は、「デザインあ」にしては長めで、だいたい3〜4分。つまり、合計15分程度の映像を撮ることになります。ぼくはふだんTVCMの仕事が多いのですが、TVCMは15秒の映像を1日がかりで撮影します。1シーンごとにセッティングやライティングを変えながら撮影していくのですが、15分(900秒)の映像をCMのやり方でやったとしたら、単純計算で60日(2ヶ月!!)かかってしまうことになります笑 実際には、番組プロデューサーの阿部さん、白田さんからは、「スケジュール調整の結果1日で撮りましょう!」と言われまして。でも「えーーー!」とはならなかったんですよね。なぜなら、この企画と脚本を書いた時にすでにハナコさんでつくることを想定していまして、もう彼らの土壌であるコントをそのままして撮ろうと思っていたからです。とはいえ、ぼくはコントやお笑いの世界を知らないので、いきなり渡された4本の脚本をすぐに演じられるかどうかは予測がつかず、お会いするまでかなりドキドキしていました。

これ、もしハナコさんじゃなかったら、と考えると恐ろしい話でして、つまり、演者に求める要素を文字にするとこんな感じになります

1 4分の脚本×4をすべてワンカットで演じてほしい

2 針が3本なので、3人の役者でやってほしい

3 3人の役者には、ぶっつけ本番で、息をぴったりあわせてほしい


かなりハードルの高いお願いです(笑)そう、「言いたいことがあります。」は、ハナコさんだからこそ成立しているとも言えるのです。

ということで、シーズン1「時計編」の撮影当日。かなーーーり厳しい段取りにになることが予想されていましたので、ぼくもスタッフも朝からかなり緊張気味。スタジオには緊張感が流れています。事前に台本は送っていたものの、A4びっしりの原稿が13ページくらいあります。大丈夫かな。ドキドキ。そこへ、「おはようございま〜す」といって、入ってきたハナコさん。朝からいつものさわやかな感じです。早速、ドキドキしながら、撮り方の確認をしました。「パートごとにカットしながら撮ります?」「あ、いえ、一気で大丈夫ですよ」えーーー!すごい!「原稿を確認したり覚えたりするのにどのくらいいります?」「あー、カメラ前で、軽く合わせれば大丈夫です」えーーー!すごい!そして、撮影が始まると、本当にその言葉通り、できちゃったんです。

最初に設定した通り、短針の秋山さんは「不満を抱えた人間っぽいキャラ」、長針の岡部さんは「生真面目で冷静なキャラ」、秒針の菊田さんは、秒針を忠実に再現してもらい「ひたすら走り続け、最後に言いことを言ってくれるキャラ」です。(もはやキャラというより設定ですが笑)あ、菊田さんは、本当にスタジオを走ってもらったんですが、すごいのは、リアリティを出したいと言って、本当に60秒で1周のペースで走ってくれたんです。しかも、ほかの二人が演技している間もずーーーっと走ってくれた。本当にいい人です。撮影は、ほぼ一発OKでどんどん進みました。3人の息もぴったり。コントを仕事にしている人ってすごいです。ハナコさん、ありがとうございました。

キングオブコント王者「ハナコ 」さんだった理由

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前回、妄想癖が仕事や企画につながっているというお話を書きました。
今日はですね…、さらに妄想にまつわるお話をします(笑)

妄想というと、自分で想像して自分で楽しむようなイメージがあるかと思います。で、ぼくが思うのは、その妄想をさらにそれを人に伝えると楽しいですよ、ということです。人に伝えた時点で、それは妄想ではなく「お話」だったり「メッセージ」になります。またしても、幼少期の体験の話になるのですが、ぼくには3歳離れた妹がいまして、小学校の6年間は2段ベッドで寝ていました。当時、ぼくらの寝室にはテレビもラジオもなかったので、ぼくらの遊びは「おはなしごっこ」でした。2段ベッドの上下で、交互に思いついたお話をするのです。まあ、だいたい「むか〜しむかし、あるところに」で始まるのですが、子どもながらにいつも同じ童話風のつくり話にも飽きてきて、だんだんと現実に存在するモチーフを交えたり、途中で歌を交えたり、試行錯誤していました。人間というのは、すごい生き物で、聞いた話を即座に脳の中で映像にする力があります。この力を利用することで、小説も、落語も、演劇も、漫才も成立しています。逆にしっかり描く類でいうと、映画や漫画があります。どっちも良さがあるのですが、脳の中ならお金も最先端の設備がなくてもなんだって描くことができるというのは素晴らしいことです。

さて、今回は「コント」という演劇にちかい、もしくは、落語と映画の中間のようなフォーマットを採用しているのですが、その良さはスピード感と感情表現にあります。小説や落語は、その伝達と描写の深みが素晴らしいのですが、どうしても時間がかかってしまう。「デザインあ」では、子どもたちに楽しく飽きさせず「デザイン」のおもしろさなどを伝えることがミッションになります。大事なのはスピード感。その点、実はコントというフォーマットは最適だったのです。加えて、感情表現の長けた人たちを演者に迎えたい。この企画をしたのが2019年の1月だったのですが、まさにその前年にキングオブコント2018をとられていまして、その演技と表現力のすごさを目の当たりにして、ハナコさんの虜になっていたぼくは迷わずにキャスティングを希望したのでした。


そしていよいよ!!あす、10月31日から、シーズン2突入です!!次は菊田さんもめちゃめちゃしゃべります!ぜひ、ご覧ください〜。

言いたいことがあります。をつくった理由

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ぼくは子どものころ、おままごとや人形遊びが大好きでした。シルバニアファミリーから、ロボットや塩ビのウルトラマンまでいろいろ。ずーっと、ひとりでぶつぶつとセリフを言いながら遊んでいたので、親はかなり心配してました笑 今でもその頃の癖というか、モノの気持ちや声を妄想して一人で笑っている時があります。やばいですね。親の心配は的中したのでしょう笑 

さて、「言いたいことがあります。」のねらいとしては、当然ながら、“モノの形状や機能を子ども達に知ってもらいたい”というのはあるんですが、もう一つ、モノの理解を見たままの道具として終わらせずに、“新たな見方を発見する“のって楽しいんだよ、ってことを伝えたいなと思ったのです。

第一弾のモチーフは「時計」です。時計なんて、どこにでもあるものです。家にも、学校にも、駅にも。普通は「時間を知るための道具」以外に思うことなんてないんです。時計の読み方がわかればおしまいです。でも、ちょっとじっくりみてみてください。

短針は、すごーーく、ゆっくり進んでいる。止まってるようにもみえるスピードで。人に置き換えたら、どうでしょう。このスピードで動き続けるとしたら、辛いですよー。もう太ももがパンパンになりますね。しかも、短針はいつも長針と秒針に追い抜かれるだけで追い抜くことは永遠にない。なんて儚くて頑張り屋さんなんだ!とか。そんな妄想をしていると楽しいんです。どんどん絵やセリフが浮かんできます。

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今回、描きたかったけど、ボツにしちゃったのでいうと、3本の針は1日に2回だけぴったり重なるんです。その時間、わずか1秒間。この奇跡の瞬間に彼らは、いえーい!ってはしゃいだり、ときには、千手観音の真似をしてふざけたりするのです笑 

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この妄想ですが、実は、誰もが知っている、ある会社はこれがとても得意です。そう、ディズニーです。ディズニーの映画は、おもちゃ、クルマ、虫、花や木など、日常に溢れているモノたちが「こんなこと話してたら楽しいな」っていうのを描いています。そこにいろんなドラマや感動を重ねていく。ぼくは、ディズニーが絶対にモチーフにしないもので、しかも「実写」でやったろう、ということで「時計の3本の針」にしました。

この妄想術が備わってると、大人になってからいろいろ役に立つんじゃないかと思います。ぼくも、CMや企画を考える時に、この妄想癖みたいなものがふんだんに活かされてるなぁと思います。役者さんやキャラクターがいたときに、彼らが何を話したら面白いんだろうって考えるってこと。これ、すべての仕事に必要な能力のような気もします。「今はないけど、こんな商品があったらいいな」とか、「今はないけど、こんなイベントがあったらいいな」「今はこんなやりかただけど、こういうやりかたのほうが楽しいよね」とか。根っこは同じです。目の前に見えるものから、今はないものを想像する力。だから、特に子どものうちからそんな楽しさを知ってほしいなー、なんて気持ちでつくりました。

3本の針の、かわいくて、情けなくて、人間らしい会話を通じて、時計の機能や形状、そして、観察力と妄想力を育むきっかけになったらうれしいです。

さて、次回は、制作&撮影の裏話を書きたいと思います。なぜ、キングオブコント王者のハナコ さんとやることになったのか。では、また。