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制作スタッフによる現場日誌

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パカパカ

「解散!」は日常にあるいろいろなモチーフを、1コマ撮っては動かし、また1コマ撮っては動かしを繰り返して動画を作っていく「コマ撮り」という手法で作られています。(ここでいう1コマというのは1枚の写真ことで、「解散!」では1秒作るのに10枚の写真を撮影します)
毎回、ディレクターの岡崎智弘さんが、試行錯誤しながらいろいろなものを動かしています。

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撮影用のカメラはいつも長いケーブルでパソコンにつながっていて、そのパソコンの中の「コマ撮り」専用のアプリを操作することが、僕の仕事の一つです。
そのアプリは、カメラのシャッターを切ったり、撮りためた写真を動画として再生したり、実にいろいろなことができるのですが、中でも一番多く使っているのが、撮影した前のコマと、これから撮ろうとしているコマを、モニター上に交互に映し出すという機能です。

「解散!」の撮影では「パカパカ」と呼ばれています。
モニター上で、前に撮ったコマと、これから撮るコマが、一定の間隔で「パカパカ」切り替わっているので「パカパカ」です。

この「パカパカ」を使って、これから撮ろうとするコマのモチーフを少し動かしてから前のコマと比べると、まるでそのモチーフがひとりでに動いているように見えます。こうして、そのモチーフをどのように動かしたら一番良いか、少しずつ確かめながら動きを作っていくことができるのです。

もちろん、「パカパカ」がないと「コマ撮り」できないわけではありません。
「パカパカ」がない時代から、先人達はいろんな工夫をして「コマ撮り」をしてきましたし、
昔から、そしていまでも、頭の中だけで動きを想像して「コマ撮り」する人もいます。

現に、岡崎さんも常に「パカパカ」を頼りに動かしているわけではありません。
動かすモチーフの特性やそのカットに必要な秒数などから、動きのルール(動き方や動く量)を決めて、
モニターよりも目の前のパーツをよく見ながら、もくもくと動かしていく場面もとても多くあります。

とはいえ、「パカパカ」はとても便利なので、「解散!」に限らず、いまではほとんどの「コマ撮り」の仕事の現場で使われています。
そして「解散!」の撮影では、パソコンの前の僕たちも、じっと「パカパカ」を見ています。
「パカパカ」を見ながら、たくさんのパーツの中で動いていないものを見つけたり、急にどこからか出てきてしまったゴミを見つけたり、照明の変化を見つけたり、時には、モチーフの動きの軌道、動きの量、体勢の崩れなど、岡崎さんのルールから外れてしまったものを見つけたりしています。
僕はいつも、微力ながら動きを一緒に作っているという気持ちでパソコンの前に座っています。
そこは動きが今まさにできていくところを見ることができる特等席です。

今日もスタジオのモニターには「パカパカ」と映像が映し出され、
いろいろなものが、ちょっとずつちょっとずつ、ひとりでに動いていっています。