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「つくる」人の性格

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こんにちは。
「つくる」コーナーを担当している山中有です。


「つくる」は、もののつくられていく様子をおいかけていきますが、毎回人の顔を撮っています。つくっている人の顔っていいですよね。ひたむきに打ち込んでいる表情はみんなかっこいいんです。


昔、マタタビという植物でざるをつくっている職人さんとお話ししたことがありました。
ぼくが、
「一日中、こんな静かなところで作業していて、寂しくなりませんか? だれかと話したくなりませんか?」
とたずねたところ、
「いや寂しくなんかないよ。ずっとマタタビと話をしなくちゃいけないから。ラジオもテレビもつけてたら話ができなくなっちゃう」
と答えてくれました。


職人さんはマタタビの妖精と世間話しているわけじゃなくて、
「今日はワタシ乾いちゃってるわ。ちょっと折れやすいわよ」
とか
「うちの兄弟は頑固者ばかりじゃ。カッチカチじゃ」
といったマタタビの素性の話をしているわけです。


ところで、いろんなところに行っていろんなものをつくる人に出会うわけですが、いつも面白いと思うのは、多くの場合、そのつくるものとつくる人の性格が正反対であることです。


例えば、刃物。
これまで「はさみ」や「かま」などを取材してきました。
どれも硬くて冷たくて鋭くて。
それをつくっている職人さんもつくっているものに影響されて、きっと怖い感じの人かなと勝手に想像するのですが、会ってみると性格は正反対なんですね。
意外とほんわかしていて、やさしくて、ゆったりしている。


例えば、とうふ。
真っ白で、ふわふわやわらかい。
でもそのとうふ屋さんは頑固一徹。曲がったことは大嫌い。


不思議ですね。
人はとても環境に影響を受けやすい生物なので、もしかすると人のほうがものに対してバランスをとるために、性格を変えているのかもしれません。
クリエイターやデザイナーと呼ばれる人もそんなところがあるような気がします。


だから皆さん、身の回りのものをみたら、そのイメージとは反対の性格の人がつくっていると思ってください。けっこう当たりますよ。たまにはずれますが。

 

ことばのないほうの世界

「つくる」をつくっている山中です。

「つくる」コーナーではタイトルのほかにことばは使っていません。
ナレーションやセリフ、字幕をふつうは使いますよね。
なぜ使わないとおもいますか?

わたしたちは日常でことばをとてもよく使います。
人になにかを伝えるときに電話やメールが便利ですよね。
「口で言わなきゃ伝わんないでしょ!」なんてお母さんによく叱られます。
「はっきり口で言ってくれなきゃわからない!」なんて恋人にも言われます。

たしかにことばはなにかを的確に伝えるには便利なものです。
でもはたしてことばがなければあまり伝わらないのでしょうか?

「つくる」のコーナーを観るとその答えがわかると思います。
もしことばがないと、人はことば以外のなにかを受け取ろうとします。
たとえば…
「石をけずるときはこんな音がするのか」
「おにいさんの動きは無駄がないな」
「職人さんの指が曲がっているな」
「ざぶとんがボロボロだ。何十年もここで作業しているんだな」

ことばがなくてもとても多くのことを伝えることができるのです。
むしろことばがないほうがより感覚的に知ることができます。人は、感覚的に知ったことについてはとても長く記憶します。好きな曲のタイトルは忘れちゃうんだけど、その曲のフレーズはよく憶えているというアレですね。

余談ですが、その昔、「表情」をいっさい使わず、劇映画をつくった人がいました。
アキ・カウリスマキという映画監督さんです。

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この人の「街のあかり」という映画では、登場人物は全員ずっと無表情です(他の作品もそうですが)。ふつう映画では、登場人物が泣いたり笑ったり、切ない表情をしたりして、その人の気持ちが分かるのですが、この映画ではまったく表情がありません。
だから、その人物の気持ちがわからないか、と言われるとそんなことはけっしてなく、むしろその微妙な気持ちがとてもよく伝わってくるから不思議です。

ことばがないほうがよく伝わる…
そう考えてもう一度世界を観てみると、少し違って見えてくるかもしれません。

と、こういうふうに書きますと「じゃあ、これからはあまり語らず、無口でいこう。ハードボイルド。言わぬが花だ」と言い出す人がいますが、わたしの過去を考えますに家族・恋人・友人関係でうまくいったためしがありません(特に恋人)。時にはことばにすることも大切です。