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制作スタッフによる現場日誌

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  2. 2020年1月

先生と坊や、絶妙なやりとりが生まれる秘密

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「デザイン問答」のコーナーを担当している石川です。
今回、はじめて「デザインあ」に参加させていただきました!

以前一視聴者として見ていたとき、「デザイン問答」のコーナーでは、不思議に思っていることがありました。

「先生」と「ぼうや」のやりとりが、とても生き生きとしているように感じたからです。
いったいどうやって、声を録音しているのか?

聞けば、ディズニーのアニメと一緒の「プレスコ」方法で、
先に出演者の声を録音し、それにあわせてCGアニメーションを作っているのだそうです。

そんな訳で、台本を書き終え、
「デザインあ」のディレクターとして最初にむかえたのが、
先生役の平泉成さんと、ぼうや役の安西英美さんの声の録音でした。

録音というと、キャラクターごとに別々に声を録って、
編集でつぎはぎすることも多いのですが、「デザイン問答」では、
先生とぼうやの「かけあい」をそのまま録音するとのこと。

録音用ブースに入ると…。
平泉さんと安西さんが、机を挟んで向かい合って座っています。

「先生」「なんだい?」「先生」「なんだい?」

目の前で繰り広げられる、先生と坊やの「生」のやりとり!
ディレクターの役得を感じる、幸せな時間です。

平泉さんは、さすがベテラン俳優。
身振り手振りも交えながら、セリフに合わせて変化する表情に
思わずひきこまれます。

自ら「もう一度やらせて」「もう一回やっていい?」と仰って、
声色や、ニュアンスを変えて、いくつもテイクを録ってくれました。

坊や役の安西さんも、平泉さんの芝居に合わせて、
合いの手の間や、強弱が変化します。

まさにプロ同士の芝居の真剣勝負!
こんな風に、自由に芝居を試せるのが「プレスコ」のメリットです。

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実は、今回、2バージョンのやりとりを録音しています。
ひとつは「スピーディバージョン」。
番組側からお願いしたバージョンで、
先生とぼうやの、かけあいのテンポの良さを狙ったもの。

そしてもうひとつは、「ややゆっくりバージョン」。
「もう少しゆったり目だと、もっと芝居のニュアンスを出せるんだけどなぁ」
という平泉さんの申し出(つぶやき)を受けて録音しました。

結果は…どちらのバージョンも素晴らしく、
何度も聞き直して、編集で二つの良い所をミックスすることにしました。

「先生」と「ぼうや」の絶妙なやりとりが生まれる秘密を、
目の前で実感した、そんな「デザインあ」ディレクターデビューの日でした。

歩く・走るということ

こんにちは。
デザインあ 大人スペシャル2020そして新年1回目の放送見ていただけたでしょうか。
デザインの観察・義足の回を担当した松﨑です。

突然ですがみなさん、歩き方わかりますか?

今回様々な場所へ取材に行かせていただきました。
義肢装具サポートセンターさんにて実際に私たちも義足をつける体験をしたのですが、装着後「さ、歩いてください!」と言われて、
毎日歩いているからぜんぜん出来るでしょと思っていたのですが
つま先かかと、どっちから先につくんだっけ…
あれ、膝ってどうやって曲げるの?
…全く歩けませんでした。

 matuzaki1.jpg

手すりを使わないと立つこともできませんでした。
義足に体重をかけることが怖いのです。
まずかかとからついて、膝を曲げて、えーと…言ったように、
動作を一つ一つ分解していってやっとで一歩踏み出せました。
細かく動きをイメージしないとうまく機能してくれません。

実際に義足を使用している方も「かかとついて、体重かけて」とはじめは意識して練習するそうです。
だんだんと意識せずに歩けるようになってくる時、
まるで身体と一体化になるような感覚、というお話も聞きました。
ほとんどの人がスムーズに歩くようになるまでにはたくさんの時間をかけて練習をしているそうです。

走るためにはスポーツ義足に履き替える必要があるのですが
歩く同様に走るためにも練習を積み重ねていきます。

大人スペシャルでは、100m走のオリンピック選手とパラリンピック選手の金メダリストの記録が近づいてきている、というグラフを出しました。
実際にすでに健常者の記録を超えている競技もあります。

こうなってくると、義足を使うことがテクニカルドーピングではないかと問題視する声もでてきているそうです。
今回の取材をとおして私がただ一つ言えることは、パラアスリートの方の練習量は想像を絶するものなんだろうなということです。
記録を出す前にまずは走る練習から始める必要があるのですから。



デザインの観察 義足

再放送
Eテレ 1月18日(土)7:00 〜
           1月24日(金)22:45〜
BSP   1月23日(木)11:15 〜

 

信楽焼のたぬきの置物について

 こんにちは。
「デザインあ」制作スタッフの茂泉です。
「デッサンあ」で描くモチーフ(絵のモデル)の準備などを担当しています。

突然ですが、皆さんは店の軒先にたぬきの置物が置かれているのを見たことはあるでしょうか。

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 たぬきは「他を抜く」という言葉から商売繁盛の縁起物と考えられていて、
玄関や店の軒先に置く習慣があります。
「デザインあ展 in SHIGA」では、このたぬきの置物を「デッサンあ」のモチーフとして展示しています。

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「デザインあ展」では、開催地ごとにデッサンモチーフをご当地のものに替えています。
富山ではかつてブリ漁に使われていた木造の漁船、山梨では武田信玄の甲冑、熊本では熊本城の模型などなど
地元の方にも親しんでいただけるよう、
そして他県の方には、その土地まで足を運んだ思い出になるよう工夫を凝らしています。


今回展示しているたぬきの置物は、現在放映中の朝ドラ「スカーレット」でも注目を集めている滋賀県の信楽が発祥の地です。
信楽で作られる焼き物は「信楽焼(しがらきやき)」と呼ばれ、日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられます。

今回は、この「信楽焼のたぬきの置物」にスポットライトを当て、
意外と知られていない制作背景をご紹介したいと思います。


この信楽焼のたぬきの置物、
始まりは、明治から昭和にかけて生きた、ある男性の不思議な体験からきていると言われています。
京都清水焼の窯元出身の藤原銕造(ふじわらてつぞう)は、ある月夜の晩、ぽこぽこと腹鼓に興じるたぬきを見ました。
その珍しい姿に魅せられた銕造は、なんとかその姿を焼き物で再現しようと、自分で小狸を飼って観察し、置物を作り始めました。 
その後、大きな焼き物を得意とする信楽に移り住み、信楽の特性を活かした等身大のタヌキを次々と作ったそうです。
あまりに夢のような話のため、作り話ではとも言われていますが、
信楽焼を扱う方々にとっては身近なエピソードとして語り継がれています。

たぬきの置物の愛らしい姿は評判を呼び、次第に信楽の名物として定着していきました。
いつの頃からか定番になったその姿には、
縁起の良い8つの特徴があると言われています。

笠     悪事災難から、身を守る準備を
顔     お互いに愛想よく
目     周囲を見渡し正しい判断を
お腹    冷静さと大胆さを持ち合わせよう
通い帳   世渡り上手は信用が第一
徳利    仁徳をみにつけよう
金袋    金運を身に着けよう
しっぽ   終わり良ければすべてよし

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 縁起をかつぐその姿には一つ一つ意味があったんですね。

今回の展示にあたって滋賀県について調べ、
私も「信楽焼のたぬきの置物」について改めて知ることができました。
銕造ほどではないかもしれませんが、調べるほどに私もたぬきの魅力に取りつかれてしまい、
道で見かけると「あ、たぬきだ。」とつい言ってしまうほどになりました。
「デザインあ」に携わっていると、こういった身の回りにあるものについて考え直す機会が多く、
知っているものなのに、
こんな意味があったんだ!
こんな風に作られていたんだ!
と日々新しい発見があります。

デッサンモチーフの「信楽焼のたぬきの置物」は会期終了の2月11日まで展示予定です。
とても愛らしいたぬきの置物が皆さんをお待ちしていますので、
ぜひ実物を目で見て、描いてみてください。

デザインあ展 in SHIGA
会場  佐川美術館(滋賀県守山市)
会期  2019年12月14日 –  2020年2月11日
https://www.design-ah-exhibition.jp/

正確無比であること 〜デザインあ おとなスペシャル2020 放送に寄せて〜

 紋。円と線を巧みに組合せて描き出される、デザイン。
その美しさの秘密は職人たちに継承された、
極めてシンプルで正確無比な作図法にありました。
針先1つ分のズレで紋は台無しになると、職人は語ります。

取材をしたディレクターの荒木です。
今回の「もん(紋)」は、おとなスペシャルだけの特別版。
普段は明かさない、職人の正確無比な作図法に迫りました。

例えばこれ。
五弁の花びらを描くときの基本中の基本。

 mon.jpg

 

円の中に、5つの円をピタリと収めています。
どの位置に、どの大きさの円を描けばこうなるのか…
もちろん、コンピュータなど使いません。
職人が使うのは「割り出し法」と言われる紋の作法です。

写真を見ると、薄っすら針で引いた線や、ちょっと付けた印が分かりますよね。
それが割り出し法の筆跡です。
このピタリ円(←勝手に名付けました)を描くには、
まず、円を描き、その円に内接する正五角形の一辺の長さを割り出します。
更にそれを正確に等分し、円を十分割します。
そこから更に定規を4回、コンパスを3回使い、
ようやくその円に内接するピタリ円の中心点(=針を置くポイント)を導きだせます。

熟練の職人ともなれば、感覚だけでも、ほぼ正確な位置に針を置けるでしょう。
それこそ、手順を踏んで導いたポイントとほぼ変わらない位置に。
けれど、決してそうはしないのです。「ほぼ」ではダメなのです。
まずもって、正確無比は紋の生命線。
真に正確なピタリ円を描かなければ、真に美しい紋の花は咲かせられないと、
職人たちは考えています。

番組では、その正確無比の凄さを伝えようと、数学を使って解説を試みました。
おとなの皆さんが、かつて数学で習ったはずのアノの定理まで持ち出し、
紋の世界を一層ディープに堪能していただく趣向を凝らしています。


デザインあ おとなスペシャル放送は

Eテレ:1月5日(日) 午前 0:00〜0:20(土曜深夜)

BS4K:1月5日(日) 午前11:35〜
    1月9日(日) 午前12:00〜