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制作スタッフによる現場日誌

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  2. 2016年6月

映像手法と目的

 

「デザインあ」の中には様々なコーナーがあります。
映像手法でざっくり分けると、「実写」「イラスト」「アニメーション」に分かれています。

 それぞれのコーナーの演出方法はなんとなく決まっているのではなく、
はっきりとした目的に沿ってつくっていたりします。(全部ではありませんが。)

まず、「実写」ベースのコーナー。
モノの構造やディテールに注目させる、
人の表情やモノの外側にある情報(光、質感など)まで子細に写し出すことで
リアリティを生み出す、などの効果を狙って作っています。
『デザインの観察』『つくる』『デザインの人』『考えていない』『うらおもて』など。

次に、「イラスト」ベースのコーナー。余分な情報をそぎ落とし、
現実の中から伝えるべき情報を選択して、
一目で分かる、伝わるようにすることができます。
『ぬきさし』『アンドゥトロワ』『チーム○○』など。

そして「アニメーション」。実現することが難しい空間や、架空のモノを表現することができます。
やたら間隔の狭い階段を瞬時に生み出すこともできるし(『ちょうどいい』)、
階数ボタンが多すぎる不便なエレベーターも作れます。(『うごきのデザイン』)
ややこしいモノの製造工程をシンプルに伝えるのにも適しています。(『のこり』)
「~だったりして」を映像に落とし込める所がアニメの強みです。

実際のコーナーは、こうした手法ごとの利点を組み合わせ、
複合的に作っているものもあります。

映像を作る時、撮影手法の面白さや、ビジュアル表現の斬新さを優先して考えるのも大事ですが、「そもそも何を伝えたいんだっけ?」という視点に立ち戻って表現手法を練ることも、「デザインあ」で大切にしていることの一つです。

 

gazou1.jpg

画像は、『デザイン問答・偉人編』から、ミズヒロさんが描いたこども時代のガウディ、ヤコブセン、イサム・ノグチ、シャネル。今は亡き偉人たちのこども時代を動きで伝えることができるというのも、アニメーションの魅力の一つですね。みんな良い表情してます。

gazou2.jpg

普通はアニメだろ!という所をあえて実写&CGでやってのけて強烈なインパクトを
与える『思ってたんとちがう』。毎回斜め上のオチが待ち受けています。

めでたい

medetai.jpeg

「物」にはカタチがあります。
コップ、えんぴつ、机、シャツ、
みんな、目で見たり、手に取って触れることができます。

「気持ち」はどうでしょう?
物のようにカタチが無いので、見えない、さわれない、聞こえない。
でも、この心の中のモヤモヤ、取り出して伝えたい!

いくつか方法があります。

1.それらしい素振りで伝える
2.直接会って話したり、手紙を書いたり、ことばで伝える
3.見えるカタチ、さわれる物、聞こえる音などに、伝えたい「気持ち」を込める

新コーナー「めでたい」では、主に3つめ、
本来カタチの無い「気持ち」が、どんなふうに「物」の中に込められているかを
音楽とアニメーションで楽しく紹介していきます。


うたは、KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)のお二人。
ラップのことばとリズムで軽やかに、
説明しすぎず、でも言いたいことをギュッとピンポイントで伝えてくれます。

いつもより、ことばで説明することが多いコーナーなので、
内容が伝わるかな?と少し心配していたのですが、仮の映像にうたが加わって、わ、わかる!
制作チームがほっとした瞬間でした。


物のカタチに表されたいろいろなサインが見えてくると、
何気ない日常の風景も、
「むむ!これは、松竹梅、縁起良いなぁ」なんて、ちょっとうれしい。

いろいろな決まり事やルール、起源や由縁は、諸説あって、
なんだか面倒だなぁ、なんて思っていましたが、
伝えたいのは、「うれしい、縁起良い、めでたい」という気持ち。
がんがん使っていこうと思います。


ちなみに、第1話の「だるま」の顔の中に登場するおめでたいモチーフたち。
今後も度々でてくると思うので、その由縁をご紹介します。

鶴亀・・・長寿の生き物。
松・・・通年青々として枯れない葉。
竹・・・すくすくまっすぐに伸びる様子。
梅・・・まだ寒い冬のうちに咲く花。

自然の風景を、自分の「気持ち」と重ねて表します。
豊かな想像力からうまれた、おめでたいデザインです。

 

かたちの擦り合わせ

team1.jpg

こんにちは、「チーム○○」を担当しています、パーフェクトロンです。
このコーナーは
「コーヒーを一杯入れるのに、わたしたちは一体いくつの道具を使ってるのかしら?」
という単純な疑問から始まりました。
蛇口をひねって、お湯を沸かして、コーヒー豆を計って、豆をひいて、カップをだして。。
数えてみたら13個もありました。すごい、ずいぶん色々な道具にお世話になってるなあ!

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これらをひとつの「チーム」として、ザザッと並べて見てみよう!
それが「チーム○○」というコーナーです。
ナレーションは濱田マリさんにお願いし、明るく可愛くテンポよく整えていただきました。

さて今回の制作で、いつもよりちょっと気をつけたことがあります。
それは、みんなのイメージするかたちを擦り合わせることでした。

コーナーは1分前後ととても短いです。
その中でテーマができるだけストレスなく伝わるように 普段からできるだけシンプルに、を心がけています。

ところがですよ。
「チーム○○」は、登場アイテムがとても多い。
しかも、アイテムのどれひとつをとっても、みんなの持つイメージはきっとバラバラ・・・。
困ったな。ごちゃごちゃすぎて何も伝わらない。全国放送の意味がない(大げさ)。

そこで、みなさんがストレスなく自分の持つイメージにつなげられるように
かたちの擦り合わせを いつもより念入りに行いました。
たとえば、「フライパン」と聞いて、どんな絵を思い浮かべますか?
丸くて、柄がついてて、厚みは?縁の角度は?素材は?
多分、みなさん少しずつ思い浮かべるものが違います。
そこからイメージの最大公約数を探して、かたちのヒントにしました。

こんなふうにできたコーナーですが
これを見て、
うちはもっと違うもの使ってるよ、とかこんなの使ってないよ、とか
自分なりのチームを作ってもらえたら
とても嬉しいです。

 

もーん

DSC00897.JPG
「もん」撮影現場。描いているのは紋章上絵師・波戸場承龍さん。

「もん」の構成を担当しているディレクターの池田です。
「もん」は、日本の伝統的な紋様がグラフィカルに描かれる様子を、
渡辺篤史さんのダンディな声で実況していただくコーナーなのですが、
もともとは完成した紋をひたすら愛でる、
という会話劇ベースのコーナーを作ろうとしていました。
作図過程を見せることはプランになかったんです。
ですが、取材を進めるうちに、絵師の方々が非常にシステマチックに図形を
作図していることが分かってきて、その面白さを伝えるべく構成に組み入れました。

紋の形というのは、その多くが一つの円の中に収まるように表されます。
円の中に線を引いて分割したり、別の円を足したりして紋を作るわけなんですが、
描くにあたって、ビシッとした基準と、ゆるっとした基準、ふた通りあるんですね。
ビシッとした基準はどういうものかというと、

「円を等間隔に分割して、さらにその分割線に内接する円を配置する」
といった具合に、明確な基準が存在するパート。
ゆるっとした基準は、
「花の雌しべの大きさ」「花びらの曲線の曲がり具合」といった、ディテールを描く際に
適用されます。配置する場所もサイズも紋章上絵師(紋章を専門に描く職人さん)の腕に
委ねられるパートです。

法則性のある形と、”あそび”のある形。
両者の絶妙なバランスの中で美しい形を作るのが、紋の面白い所なのだと
ご出演いただいている波戸場承龍さんは仰っていました。

ひとたび「もん」を作り始めると、あらゆるところで
様々な紋が目に入ってくるようになります。
家紋だけでなく、刺し子などの伝統紋様まで視線を広げれば、
居酒屋の軒先、神社の手水場、町工場のシャッター、
宣伝ののぼり、純喫茶の装飾、などなど、
町を歩けば紋にぶつかるぐらいの勢いで見に飛び込んで来るようになりました。
市町村区のマークも、紋や紋の応用形が用いられていることがあります。

今ではあまりいい意味では使われませんが、
「紋切り型」ということばの語源だったりもします。
「決まり切ったやり方」=「頭の固い奴」という意味に転じたのですが、
手順を踏んで形を作る訓練は、ものの形を認識する上でもとても大切なように思います。

あ、ちなみに、家紋って代々受け継ぐものだと思っている人が多いと思いますが、
自由に決めてしまってもいいそうです。オリジナルもOK。
どんな形があるの?と疑問に思われた方は、墓地に行ってみてください。
本当にいろんな種類の紋に出会えます。
海外の方が家紋を作りに来るケースもあるそうで、
オリンピックが近づくにつれて、ますます注目されるようになるかも知れませんね。

bunmawashi.png
紋章上絵師の仕事道具「ぶんまわし」。
名前はちょっと物騒ですが、とても繊細な道具で、
紋章上絵師の腕に応える大切な相棒です。
鉛筆の代わりに筆を取り付けて使用する、竹製のコンパスです。
筆なので、当然円を描く途中で墨を付け足さないといけないのですが、
細かいディテールを描き分けたり、竹のしなりを利用して円の半径を微調整するなど、
かゆい所に手が届くデザインになっていたりします。