風疹とはどのような病気で、
何がこわいのでしょうか。

風疹が再び流行中

平成30年7月下旬から、風疹の患者が急激に増え始め、過去5年間で最多となっています。流行の中心は首都圏ですが、地方にも感染が広がっています。患者の8割は男性で、その多くが30代から50代。女性では、20代の感染が目立っています。

主な症状は

主な症状は、発熱と、その翌日くらいに小さくて細かい赤い発しんが顔から出始め、全身に一気に広がります。また、耳の後ろや後頭部のリンパ節が腫れて、痛むこともあります。また目が充血したり関節痛を訴える人も多いということです。大人の患者の3割に、39度以上の高熱が出たという報告があります。一方で、15%から30%人は、感染しても症状が出ないといわれています。知らない間に感染し、周りにいる妊婦にうつしてしまうこともあるのです。

     

患者の中心は
「30代から50代の男性」

「風疹は子どもがかかる病気」だと思って油断してはいけません。
平成24年から25年の流行でも、患者の8割近くが男性で、その多くが20代から40代、今の30代から50代でした。 成人の風疹の多くは、1週間程度で症状が治まると言われていますが、中には風疹のウイルスによって脳に炎症が起きる「脳炎」と診断されたケースもあります。国立感染症研究所によりますと、平成24年〜25年9月中旬までに風疹による脳炎と診断された患者は18人に上っています。重症に至らないまでも、40度近い高熱が数日間続いたり、血小板が減少したりして入院するケースもあります。1週間ほど仕事ができなくなることが多いため、仕事や生活にも支障が出てしまいます。

発疹がでる前から感染力

風疹は、患者の咳や会話で飛び散る飛まつを介してうつります。患者は発疹が出る前後1週間ほど風疹ウイルスを出しているということです。
また風疹の免疫がない人の中に患者が1人いた場合、何人の人にうつすかを示す指標では、インフルエンザは1〜3人であるのに対し、風疹は5人〜7人と言われています。

妊娠中は特に注意!

妊娠20週頃までの女性が風疹ウイルスに感染すると、おなかの赤ちゃんが目や耳、心臓に障害が出る「先天性風疹症候群」で生まれる可能性があります。その確率は妊娠初期に感染するほど高く、妊娠1か月では50%以上、2か月で35%、3か月で18%、4か月で8%というデータがあります。妊娠していることに本人や周囲が気づかず、「無警戒」な時期に感染してしまうおそれもあるのです。

     

平成24年から25年にかけての全国的な風疹の流行によって、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されました。このうち11例は、生後1才3か月までに亡くなっています。また妊娠中、母親に風疹の症状が出ず、感染したことに気づかなかったケースが3割ほどあり、生まれてしばらく経ってから症状が出たり、症状に気づいたりしたケースもあります。

また感染した妊婦の中には、身近に風疹を発症した人がおらず、いつ感染したか分からない人も少なくありませんでした。生まれてくる赤ちゃんを守る為には、風疹が広がらないよう、社会全体で予防することが重要なのです。

       

風疹の感染拡大食い止めるには
2018年9月11日放送

     

「1回かかったから大丈夫!」の誤解

風疹に関するご質問やご意見で多く寄せられるのが、「自分は子どものころに風疹にかかった、またはワクチンの接種を受けた記憶があるので大丈夫」というものです。
ほんとうに大丈夫なのか。
まず予防接種については、1回の予防接種では、ウイルスに感染するのを防ぐ「抗体」が体の中で十分作られないケースが、専門家によりますと5%弱あるということです。割合は少ないものの、確実ではないということです。
また、過去に一度予防接種を受けたことがあっても時間の経過にともなって「抗体」が減少することがあり、感染する可能性があるということです。
このため今の子どもたちは2回接種を受けてワクチンの効果を高めていますが、 平成2年4月1日以前に生まれた人は、子どものころに1回しか接種の機会がありませんでした。
専門家は「妊娠を希望している女性は特に2回目を受けてほしい」と呼びかけています。

一度風疹にかかった人は、多くの場合、生涯風疹にかかることはないといわれています。ただ、子どものころ風疹にかかった記憶があるという方の中には、実際には「はしか」や「リンゴ病」など別の病気だったのを本人や親が勘違いしているケースも少なくありません。

ある専門家が風疹にかかったことがあると答えた人の血液検査をしたところ、約半数が実際には風疹ではなかった、という調査結果があります。以前は医師が症状だけで風疹と診断するケースもあったため、診断が間違っていたこともあり得るのです。

「昔1回かかったから、接種を受けたから大丈夫」という「思い込み」にはご注意ください。

     

なぜ30代から50代男性に多いのか

平成24年から25年の風疹の流行は、20代から40代、今の30代から50代の男性が中心でした。
なぜこの年代の男性に風疹患者が多くなったかというと、子どものころ、予防接種の対象ではなかったり、対象であっても受けていなかったりして、抗体がない人が多いためです。

まず昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性は特に注意してください。中学生のときに学校で集団接種が行われていましたが、対象は女子だけでした。
昭和54年4月2日から昭和62年10月1日生まれの人は男女とも要注意です。この時期は男女ともに中学生のときに風疹のワクチンを接種することになりましたが、学校での集団接種ではなく個別に医療機関に出向いて受けることになったため、この期間は男女ともに接種率が激減したのです。
昭和62年10月2日から平成2年4月1日生まれの人は、男女とも要確認です。男女ともに幼児期に接種する機会があり、接種率は比較的高かったものの、受けていない人や1回の接種だけでは抗体が不十分な人もいて、こうした20代から40代の間で、感染が広がったとみられています。

現在は、ワクチンの効果を高めるため、1歳と小学校入学前の2回、ワクチンを接種することになっています。また2回目の接種を受けていなかった世代を対象に、平成25年3月末までの5年間は中学1年生と高校3年生相当年令の人が無料で接種できるようになっていましたが、特に高校生の接種率が低く、今後も抗体が不十分な人が減らずに、風疹の流行が繰り返されると懸念されています。

     

東京オリンピックまでに風疹排除を

厚生労働省は、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年までに、風疹を排除する目標を掲げています。
海外では、アジアやアフリカなどで、風疹が流行している地域があり、海外から大勢の観光客が集まるオリンピックでは、風疹が広がるリスクが高まるとみられています。
このため、オリンピックまでにワクチンの接種を進めて、国内から風疹を排除することが重要になっています。
また、産婦人科の医師でつくる日本産婦人科医会などは、「風疹ゼロプロジェクト」を立ち上げ、毎年2月4日を「風疹の日」と定めて、ワクチンの接種を呼びかける啓発活動を行っています。