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ノーベル化学賞に「リチウムイオン電池」開発の吉野彰さん

2019.10.09 :

ことしのノーベル化学賞の受賞者に、スマートフォンやパソコンなどに広く使われている「リチウムイオン電池」を開発した大手化学メーカー「旭化成」の名誉フェローの吉野彰さんら3人が選ばれました。
日本人がノーベル賞を受賞するのはアメリカ国籍を取得した人を含めて27人目、化学賞では8人目です。

ノーベル化学賞は「リチウムイオン電池」開発の3人

ことしのノーベル化学賞の受賞が決まったのは、大手化学メーカー「旭化成」の名誉フェロー、吉野彰さん(71)、アメリカ・テキサス大学教授のジョン・グッドイナフさん、それにアメリカ・ニューヨーク州立大学のスタンリー・ウィッティンガムさんの3人です。
吉野さんは、大阪府吹田市出身で71歳。京都大学の大学院を卒業後、旭化成に入社し、電池の研究開発部門の責任者などを務めたほか、2017年からは名城大学の教授も務めています。

吉野さんは、「充電できる電池」の小型化と軽量化を目指して開発に取り組み、当初は、ノーベル化学賞の受賞者、白川英樹さんが発見した、電気を通すプラスチック「ポリアセチレン」を電極に利用する研究をしていました。
その後、コバルト酸リチウムという化合物をプラスの電極として使う当時の最新の研究成果に注目し、マイナスの電極に炭素繊維を使うなどした結果、昭和60年に現在の「リチウムイオン電池」の原型となる新たな電池の開発に成功しました。

小型で容量の大きいリチウムイオン電池は、スマートフォンやノートパソコンといったIT機器に欠かせないものとなったほか、電気自動車にも利用されるなど現在の社会を支える技術となっています。

国内外で高い評価

こうした業績は国内外で高く評価されていて、吉野さんは平成16年に紫綬褒章を受章したほか、平成26年に「工学分野のノーベル賞」とも呼ばれるアメリカの「チャールズ・スターク・ドレイパー賞」をことしはヨーロッパの特許庁が主催する「欧州発明家賞」を受賞しています。
日本人がノーベル賞を受賞するのは2018年に医学・生理学賞を受賞した本庶佑さんに続き、アメリカ国籍を取得した人を含めると27人目で、化学賞は、2010年の鈴木章さんと根岸英一さんに続いて8人目となります。

会見で吉野さんが語ったこととは・・・

笑顔で会見に臨む吉野彰さん
発表直後に開かれた吉野彰さんの会見では、終始、和やかな雰囲気の中で行われ、印象的なことばを残しました。

吉野さんは最初に「ノーベル化学賞は対象となる分野が広く、順番がなかなか回ってこないがもし順番が回ってきたら絶対とると言っていたものの、まさかまさかです」と、自信があったことを示しながらも、独特の優しい口調で和やかな笑いを誘っていました。

そして、「リチウムイオン電池が最初に使われたのは携帯電話でしたが、私は最近まで携帯電話を使っていなかった」と、意外な一面を見せていました。

さらに、座右の銘について聞かれた吉野さんは、「実るほどこうべを垂れる稲穂かな」ということわざをあげ、「へりくだるわけではないが頭を垂れるようにしている。大きな壁にぶち当たっても『まぁなんとかなるわね』という柔軟さが必要です」と独特の言い方で説明していました。

成功の秘訣は“柔軟性と執念深さ”

また、これまでの研究人生については「リチウムイオン電池が全く売れない時期もあり、真綿で首をしめられるような思いで過ごした時もあったが、ある日突然、IT革命が始まった。正直、私自身幸せだった」と決してすべてが順調だったわけではないことを語り、成功した理由については、「柔軟性と執念深さの2つは絶対に必要だ。それともう1つは、本当に必要とされる未来がくるかどうかを見通すことであり、未来をよみながら研究をすすめることが大切だ。間違いなくそこにゴールがあると思えば、少々の苦労があってもやりとげられる」と笑顔を絶やさない中で、強い意志を感じさせていました。

記事の内容は作成当時のものです

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